ソフトバンク大村直之外野手(32)とオリックス村松有人外野手(35)の交換トレードが成立し10月31日、両球団から発表された。秋山幸二監督(46)は古巣復帰となる村松の実力を評価。ベテランとしての奮起をうながし、外野手競争に入る若手の活性化にも期待した。村松は11月3日に秋季キャンプ地の宮崎・生目の杜(もり)運動公園で入団会見を行う。

 03年の日本一メンバー村松が来季6年ぶりにホークスに復帰する。「最下位の結果を踏まえ、ドラフト、トレード、FAと積極的にやる」(竹内COO)という球団方針どおり、ドラフト会議翌日にトレードが発表された。現役時代の秋山監督は村松と外野を守り、99、00年のリーグ連覇を果たした。「ホークスの苦難の時代も優勝の感動も味わったことのある村松君に戻ってもらうことは、ホークスの血を濃くするために意味がある」(竹内COO)。さらに秋山監督は村松加入によるチーム内競争の活発化にも期待した。

 秋山監督

 当然この現状(最下位)は把握しているだろうしね。外国人選手(獲得の可能性)もあるだろうし、若いのも出てこないといけない。外野は激戦区になる。どんどん競い合ったらいい。特に野手は一年中競争させたい。

 来季プロ19年目の村松にもレギュラーを保証せず、センター多村以外残る2枠を競わせる。調査中の外国人や柴原、辻、若手の井手、中西らと同じ土俵に乗せることでベテランとしての奮起も狙う。

 今季の村松はプロ最少の83試合出場にとどまった。ただ秋山監督は村松について「どんどん暴れまくってほしい。まだ老け込む年じゃない。走れるし、打撃もいいものを持っている。若い選手の手本になる」と話した。2度のゴールデングラブ受賞、盗塁王獲得など実績もさることながら、練習に対する真摯(しんし)な姿勢はチームに好影響を与えると期待する。

 大村は04年オフに近鉄からダイエーへ、村松は03年にダイエーからオリックスにFA移籍しており、ともに古巣復帰という珍しい形となった。大村が出場機会を求めていたこともあって実現したトレード。最下位から巻き返しを図る秋山ホークスは今後も厳しい競争環境を追い求める。【押谷謙爾】

 ◆大村直之(おおむら・なおゆき)1976年(昭和51年)2月13日生まれ、兵庫県出身。育英高3年夏に甲子園で優勝を経験。93年ドラフト3位で近鉄(現オリックス)に入団。「いてまえ打線」で1発も打てる1番打者として01年リーグ優勝に貢献した。04年オフにFA移籍でダイエー(現ソフトバンク)に入団。06年には最多安打のタイトルも獲得した。173センチ、72キロ。左投げ左打ち。

 ◆村松有人(むらまつ・ありひと)1972年(昭和47年)12月12日生まれ、石川県出身。星稜高では甲子園に出場。90年ドラフト6位でダイエー(現ソフトバンク)に入団。96年には盗塁王を獲得。99、00年連覇に貢献し、03年に2度目の日本一を達成したオフにFAでオリックスに移籍。178センチ、78キロ。左投げ左打ち。