未完の大器にオレ流のメスが入った。中日落合博満監督(54)は10日、ナゴヤ球場で行われた秋季練習で立浪和義兼任打撃コーチ(39)とともに堂上剛裕外野手(23)を徹底指導した。内角が打てず出場1試合に終わった5年目外野手のスイングを、1時間45分に渡って矯正した。

 素手でボールを打つなど立浪コーチからスイングの軌道を教わった堂上剛のフリー打撃が始まると、監督自らケージに近づいた。「お前、踏み込まずに打ってみろ」。要求したのはノンステップ打法。打撃投手のボールに対し、右足を踏み込まずに腰の回転だけで打ち返させた。

 オレ流指導は終わらない。ティー打撃でフォームを再確認した堂上剛に、今度は弟直倫と谷に対する特守でのノッカー役を命じた。「ちょうどいいや。兄弟だろ。これやったらちょっとは打てるようになるわ」。ヘルメット姿の堂上剛は三遊間で待ち構える2選手を相手に30分間打ち続け、スイングを反復した。

 落合監督はこれまで堂上剛に対し「自分のこだわりを持っているうちは無理。1軍の投手なら、ある程度思ったところに来るから打てないよ」と話していた。この日は、密着指導で一肌脱いだ形だ。

 立浪コーチから「だんだん覚えてはきているよ」と及第点をもらった堂上剛は「ノックバットだとスムーズにできました」と手応えをつかんだ。指揮官が競争主義を打ち出す来季は何としても1軍に定着したい。「バットがちゃんと出るようにならないと上では通用しない」と、気を引き締めていた。【福岡吉央】