オリックス秋季高知キャンプに臨時コーチとして招聘(しょうへい)された元メジャーリーガーの野茂英雄氏(40)が指導初日の12日、いきなり熱血野球教室を開講した。昼の部は2時間ブルペンに立ちっ放しで、伝家の宝刀フォークを中心に極意を伝授。それも個々の課題に応じた8人8様の教え方で、習得に苦心していた加藤大輔投手(28)らは「わかりやすい」と大感激だった。夜の部は講師役となって宿舎に全投手陣を集め、大石大二郎監督(50)らの前で投球術などを講演。指導は14日まで続く。
野茂氏がブルペンに姿を現すと、詰めかけた500人のファンから「ウォーッ」と歓声が上がった。7月の現役引退発表後、初めて公の場に姿を現したトルネード。ややふっくらした感は否めないが、ボールを握ると目の色が変わった。投球練習していた守護神・加藤に歩み寄り、早速身ぶり手ぶりの熱血指導が始まった。もちろんテーマは日米で数々の伝説を築いた伝家の宝刀「フォーク」伝授だ。加藤は必殺の握りを教わると目をキラキラ輝かせた。
加藤
フォークを覚えようと3年間練習してきたけど、それをものの5分で超えました。分かりやすいし、手応えもつかんだ。ものにできると思います。
アドバイスは的確で即効性があった。見守った中村球団本部長も「すごい効果。握り1つで球筋が変わった」と驚いたほどだ。そして何より従来の概念を覆す投法に、野茂流の極意があった。フォークは「指で挟んで落とす」ものではない。「ボールを抜くこと」こそ魔球の正しい投げ方。日米20年間で編み出した極意は、一緒に聞いていた首脳陣にとっても新鮮な理論だった。
清川投手コーチ
手首を振ろうとすると余計ボールは落ちない。ポイントは中指と人さし指で挟んだまま、親指を補助的に横に添えること。この状態で投げると自然に手首がロックされ、ボールが抜けるようになる。これはどの投手にも基本と伝えていました。
加藤
落とすボールと思っていたけど僕の中でガラっとイメージが変わりました。左右、欲しかった方向にも曲がるようになった。「浮いたら意味のないボール」とも助言されました。
野茂氏はこの日、加藤に始まり大久保、平野ら8投手を指導した。それも個々の課題に応じた8人8様の指導で、ナインからは大好評。しかも宿舎から6キロを歩いて球場入りした後、ウエートルームで汗を流し、2時間ブルペンに立ちっ放しの熱血ぶりだった。本人は「今回はオリックスの選手を教えに来て、取材されるために来てるのではないので、コメントを出すつもりはないです」と言葉少なだったが、大石監督は「加藤のフォークは大きな武器になるでしょう。野茂が言うならと聞く方も真剣で即効性が出た選手も多くいましたしね」と満足そうに話した。
野茂塾は14日までの3日間。オリックスだけに許された夢の濃密な時間を生かし、来季日本一を目指す。【松井清員】



