<アジアシリーズ:SK4-3西武>◇13日◇予選リーグ◇東京ドーム

 日本一西武が負けた。アジア4カ国・地域のプロ野球リーグ代表チームによる「アジアシリーズ」が13日、東京ドームで開幕し西武はSK(韓国)に3-4で敗れた。渡辺久信監督(43)は、ファウルとみられる当たりが本塁打となった判定に、試合後も怒りは収まらなかった。大会は総当たりの1次リーグを行い、上位2チームが16日の決勝に進出する。

 渡辺監督が疑惑の判定に怒りの声を上げた。会見での席上、表情は穏やかでも、発した言葉には勝負師の厳しさが込められていた。1点リードの2回裏。SK先頭の4番朴栽弘の左翼ポール付近に飛んだ打球が本塁打と判定された。

 渡辺監督

 あの1点は大きかった。信念を持ってジャッジした審判が判定を覆してはいけない。

 テレビ映像に映し出された打球はポール手前で切れて客席に入ったように見えた。直後に三塁塁審の李維庚(中国)が、いったんファウルの判定を下した。一方で球審の紀華文(台湾)は本塁打の判定。すると三塁塁審もクルクル手を回し本塁打のジェスチャー。三塁塁審の判定は覆されて本塁打となった。

 99年から3年間台湾でプレーした監督は、通訳が来るまで中国語で球審に抗議した。「(塁審が)せっかく正しい判定をしたのに、間違った判定に覆した。(審判も)代表して来ているわけだからしっかりやってもらわないと。モニターを見て反省してほしい」。球審は、台湾時代に同じリーグに所属していた顔見知りでもあるだけに、厳しくミスを追及した。

 日本シリーズから中3日で臨んだアジアシリーズ初戦。中島、細川の故障欠場に続き、切り込み隊長の片岡も発熱で欠いた。マークが厳しくなった4番中村は3三振。疲れがないと言えばうそになる。「精神的にも肉体的にも厳しいが、それは理由にならない。今日は勝たなければならない試合だった」と渡辺監督。日本一の栄冠に続き、アジアの頂点も本気で取りに行く姿勢に変わりない。消化不良の判定には球場を出るまで納得できなかった。

 4チーム総当たりの初戦を落としたことで、後がなくなった。決勝進出には統一(台湾)、天津(中国)戦の連勝が必須条件。「1点差でもつれて、もう一押し足りなかった。決勝に出るためにも明日から頑張りたい」。SKとの決勝での再戦を描きながら、巻き返しを誓った。【山内崇章】