メジャーへ“始動”-。FA交渉が解禁になった20日、広島から宣言した高橋建投手(39)が複数のメジャー球団からオファーがあったことを明かした。高橋は今週末にも代理人と会談し、オファーのあった球団を吟味する。また、この日、あらためて「基本はメジャー」と話し、国内他球団への移籍がないことを示唆した。メッツ、カブスなど数球団が高橋に興味を示しているが、先発として評価の高いメッツ入りが有力だ。

 交渉解禁日となったこの日、代理人契約を結ぶPEG社から高橋に連絡があった。複数の球団からのオファーがあるという連絡だった。「ほっとしたのは確かです」。いよいよこれから交渉が本格化。日本人史上最年長のメジャー挑戦を志す高橋の表情は、引き締まっていた。

 今週末にも代理人と会談を持つ予定で、オファーのあった球団から選択することになる。「まだイメージがわかないですね。向こうのシステムもいろいろあるだろうし。代理人さんと話してから、はっきりしたことが分かると思います」。

 着々と準備は進めている。代理人を通じて、メジャー球が近日中に手元に届く。一度も握ったことのないボール。「初めて握る球です。すべるって聞いているので、まずは慣れていくこと」。投手としての微妙な感覚を大事にするために、万全を期す。その球でキャッチボールをした時、“第1歩”を実感することだろう。

 この日は、大野練習場で前田智と握手するシーンもあった。「自分がみた中で、1番の天才打者」。球団が決まれば、ともに戦ってきたチームメートにも別れを告げることになる。「いろんな人から電話があって…。『頑張って来て』と言われています」。

 米国には単身赴任になることが濃厚だという。異国の地で1人でのスタート。「子どもに『アメリカの地図ある?』って聞いて借りましたよ。まだ見てないんですけど」と屈託なく笑う。その表情に迷いはない。「不安は大きい。カミさんも心配しています。でも挑戦したい」。誰にでも譲れないものはある。高橋は、長年温めてきた夢へ向かって、走り続ける。【網

 孝広】