“恋人”菊池をオレ流チェック-。中日の今秋ドラフト1位最有力候補・菊池雄星投手(2年)擁する花巻東(岩手)が23日、第81回選抜高校野球大会(3月21日開幕・甲子園)に“逆転”で選出された。落合博満監督(55)ら現場サイドがテレビ中継で実力をチェックできるようになり、スカウト陣とは別の角度から徹底分析できるようになった。他球団に負けない情報収集態勢で秋に備える。

 花巻東の“逆転出場”はオレ竜にとって朗報だ。東北の2枠は東北大会優勝の光星学院(青森)、準優勝の一関学院(岩手)が順当と見られていたが、花巻東は岩手県大会決勝で一関学院に大勝したことなどが評価されて甲子園切符をつかんだ。中日が今秋のドラフト1位最有力候補とする菊池が甲子園のマウンドに立つことが決まった。

 中日は今秋のドラフトのテーマを「左腕」としており、そのニーズにピタリとはまるのが最速149キロの本格派・菊池だ。13日に行われたスカウト会議でも中田スカウト部長が「横一線だけど左投手というのは会議の中でも出た。いい素材の中で左がいれば優先して(指名)ということになる」と話しており、菊池ら有力左腕を中心にドラフト戦略を練ることが確認されている。

 センバツに出場することで、現場サイドが自分たちの目でチェックできるようになった。センバツ期間中はオープン戦を行っているが、時間が合えば落合監督ら首脳陣が菊池の最新のピッチングをその目で見ることができる。「あれほどの注目選手だから、野球人であればだれでも見たいはず。落合監督?

 おそらくテレビでチェックするのではないでしょうか」。中田スカウト部長もテレビ中継の効果を挙げた。昨秋は落合監督が指名候補選手の映像を見たのがドラフト会議前日だった。現場が早い時期に生の情報を把握できる意味は大きい。

 中田スカウト部長は菊池の評価が上がることに若干の懸念を見せたが、数年前からマークしているスカウト体制に自信を見せた。「あれだけの投手であれば全球団が欲しいはず。スカウトとしてはあまり評価が上がるのは避けたい。ただうちは以前からずっと調査している。甲子園に出るからと言って特別なことはしない。向こうに迷惑がかからないように活動を続けるだけです」と話した。

 “恋人”の実力は-。甲子園のマウンドにオレ流指揮官の熱い視線が注がれることになりそうだ。【鈴木忠平】

 [2009年1月24日10時48分

 紙面から]ソーシャルブックマーク