第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表候補オリックス小松聖投手(27)が29日、マリナーズ・イチロー外野手(35)をうならせた。志願登板したスカイマークスタジアムでのフリー打撃で初対決し、威力ある真っすぐでイチローのバットをへし折った。昨季15勝を挙げた新人王を絶賛したイチローも負けじと、柵越え打を放った。オリックスの先輩後輩コンビが、3月の本番へ向け調子を上げてキター!

 イチローの手元には、グリップエンドだけが残っていた。小松が投じた4球目、内角ひざ元への真っすぐ。「ウォーッ」と思わず叫んだイチローのバットが真っ二つにへし折れた。シーズン中でも極めて珍しい衝撃の光景だ。それでも安打性の打球を中前へ運んだのは、イチローらしい。

 イチロー

 ほぼ芯を食ってのアレですからね。ビックリしました。きっちり両サイドに来てたし素晴らしい練習だった。どんな相手が来てもいける冷静さも持ってる。すごいゾ、小松!

 でいいんじゃないでしょうか。

 小松が志願したフリー打撃での初対決。球種は見え見えの全球真っすぐ。先日視察した日本代表山田投手コーチが「もう仕上がってる」と太鼓判を押したイチローに、どこまで通じるのか。計28球でつかんだのは大きな自信だった。

 小松

 大胆に、打者が差し込まれるイメージで投げました。でも打ち損じが少なく、イチローさんのスゴさを感じました。ただきっちりコースにさえ行けばという手応えもありました。

 昨季までの最速は146キロ。まだ「七、八分」の力ながら、イチローが振り遅れて三塁側にファウルを飛ばす場面もしばしばあった。「少し緩んだ」18球目は、軽々と右中間席中段まで飛ばされたが、3球後には低めいっぱいの見逃しストライクを奪ってリベンジ。「ナイスボール!」と言わしめた投球は、すっかりイチローの心をつかんだ。

 イチロー

 こっちも真剣にやってますからね。(打席で)甘い目をしてたらWBCのメンバーに残ってないでしょ。WBCはもちろん、とりあえずマリナーズに欲しい。いい投手はいればいるほどいいですから。

 ついにはマ軍入りの誘いまで出た。そして時折マウンドでのぞく感情について「そうされると僕は楽。僕の世界にようこそという感じ」と世界の猛者を相手に戦うWBCでのタブーを指摘した。

 小松

 僕は相手の目を見て投げるけど、イチローさんはほかの打者にない鋭さがあった。でも敵にスターもいるWBCでは決して相手を見上げてはいけないと感じたし、今日の経験でいいイメージが沸きました。

 小松は30日の連投を志願。2人とも、本番モードに入りつつある。【松井清員】

 [2009年1月30日8時50分

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