中日山本昌投手(43)が5日、沖縄・読谷球場で初のブルペン投球を行った。かつての相棒・中村武志捕手コーチ(41)をブルペン捕手に指名し、8年ぶりに沢村賞バッテリーが復活した。自身の球を知り尽くす中村コーチからは「当時よりよくなっている。怪物ですね」と2ケタ勝利の太鼓判を押された。プロ最年長の200勝左腕は、26年目も衰え知らずだ。
真っ青な空の下、読谷球場ブルペンに山本昌が足を踏み入れた。背筋をピンと張り、ワインドアップから右足を高く上げた。左腕がしなりスピンの効いたボールがミットを鳴らした。「スピードはもう仕上がっていますね」。中村コーチが声を上げた。ボールを受けるのは横浜に移籍した01年以来。当時と変わらない上質な球にうなった。
「天気がよかったから投げました。普通だったけど体に不安がないのがいい。武志はなんて言っていた?」。山本昌は投球後、笑顔だった。3度の最多勝も、2度のMVPも、沢村賞も、相棒・中村武志とともに獲得した。そして今年、コーチとして古巣に戻ってきた元女房役と8年ぶりに組めたことがうれしかった。
当の中村コーチは山本昌の球に仰天した。「山本さんの球筋は死ぬまで忘れないけど、むしろ当時よりよくなっている。回転もいいし、キレもある。年齢を考えると恐ろしい。怪物ですね。工藤さんと比べても体は山本さんの方が元気でしょう。普通にやれば2ケタ勝つでしょう」。横浜時代に受けた球界最年長投手の工藤公康(45)と比べても山本昌の怪物ぶりは際立っているという。昨年200勝を達成した43歳は、8年の時を経ても衰えるどころか進化しているのだ。
山本昌にとって1年のスタートとなる初ブルペンは大事な儀式だ。「オレは律義だから」と細部にまでこだわりを持つ。この日は前日までと違う焦げ茶色のグラブに新しいスパイクで登場した。球数も44歳を迎える今季に合わせた。当然受ける相手もこだわる。練習前のロッカーで中村コーチに話しかけた。「オレ、きょう投げるよ」。「じゃあ、新しいミットで受けていいですか?」。中村コーチは現役時代、キャンプで山本昌や今中というエース級の球を受けて新品ミットの型作りをした。2人は当時と変わらない呼吸で一緒にブルペン入りした。
今季の目標はあと7勝と迫った球団最多記録となる211勝。そして自身初の日本シリーズでの勝利だ。「ここから10月半ばまで投げ続けたい。日本シリーズの勝利?
だれもがそれを目指すでしょう」。プロ26年目のベテラン左腕はこの日からプレーオフの行われる10月半ばまで投げ続けると宣言した。ベテラン左腕が、さらなる勲章を取りに行く。【鈴木忠平】
[2009年2月6日10時23分
紙面から]ソーシャルブックマーク




