<日本ハム8-7ロッテ>◇8日◇東京ドーム

 ヒーロー…になりそこねた男も、チームの勝利を心から喜んだ。小谷野栄一内野手(28)がプロ初の1試合2本塁打を放った。3発の稲葉にお立ち台を“もっていかれた”が、「それで勝てたならよかったです。僕が2本ということは、僕より実力ある方が3本というのも(納得)、ね。3本目狙った?

 いやいやいや、そういうバッターじゃないんで」と笑った。

 待望の先制点だった。1回2死一、二塁。大嶺の144キロ直球をとらえた打球は左翼スタンドまで一直線に伸びた。チームにとって開幕5試合目で初めての先制点。「(ルーキーの)榊原が投げていたし、早く点を取りたいと思っていた」と、納得の一打だった。5回、今度はスライダーを左中間へと突き刺した。

 昨オフに右ひじ関節変形性関節症の内外側骨きょく除去手術を受けた。風呂で体を洗う、文字を書くなど、何げなかった私生活に支障が出た。野球面でも一緒。春季キャンプが始まるまで、1度も全力でスローイングすることはなく、バッティングでも、インパクト時の衝撃を避けるためにマシン打撃は控えた。

 無事にキャンプインは迎えたが、ツケが出たのか、オープン戦終盤から快音がピタリと止まった。開幕から9打席ノーヒット。好機での併殺打も2つあったが、梨田監督からは「(ヒッティングは)サインなんだから気にするな。打撃の内容は悪くない」と声をかけられた。「みんな支えてくれて、自分らしくやれました」。失敗を重ねても縮こまることはなかった。一夜に飛び出した2発の花火。火薬には、恩返しの気持ちがぎっしりと詰まっていた。【本間翼】

 [2009年4月9日9時34分

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