<阪神2-9中日>◇15日◇甲子園

 中日打線が天敵阪神下柳を完全攻略だ。2-2の7回。敵失で1点勝ち越した後、3番森野将彦内野手(30)が右越え3点三塁打でたたみかけ、4番トニ・ブランコ内野手(28)がとどめの左前タイムリー。09年型打線の核となる3、4番コンビの波状攻撃で、昨年0勝3敗と抑え込まれた左腕をKOした。昨季、6勝17敗1分と大きく負け越した阪神に会心の先制パンチ。落合監督の監督通算400勝に花を添えた。

 森野は下柳の高めに的をしぼっていた。カウント2-2からの浮いたスライダーを思い切りたたいた。糸を引くラインドライブが前進守備の右翼手の頭上を越えた。満塁の走者が相次いでホームイン。快足をとばした森野は一気に三塁を陥れた。2-2の7回、敵失で1点勝ち越しなお1死満塁の場面。会心の3点打を「やっと甘いところに来ました。2-0から2-2にもってこれたのが大きかった」と振り返った。

 燃えていた。阪神は昨年6勝17敗1分と大きく負け越した相手。中でも甲子園では2勝9敗とかもにされた。「勝てなかったのは打てなかったから」。やり返すには昨年4度対戦して0勝3敗、防御率0・33と抑え込まれた下柳をたたいておく必要があった。3番の役割は走者がいれば返すこと。昨季各打者が低めの変化球に翻弄(ほんろう)されたことを踏まえ、ひたすら高めを待っていた。

 4番ブランコが続いた。それまで10打席ノーヒット。下柳の4球目を、長い腕をいっぱいに伸ばして左前に運んだ。森野の生還を見届け「最近打ててなかったからこれで乗っていけるかな」と笑顔をみせた。

 実は甲子園室内練習場にあった小道具を拝借し、復調のきっかけをつかんでいた。片手用、長さ約60センチの短尺バット。これを左手だけで振るのが、ドミニカ共和国でスランプ時に取り組んでいたトレーニングだった。練習日だった13日、雨天のため室内で練習した14日と2日間、片手だけのティー打撃を繰り返した。「左手の使い方の練習になるんだ。いい感じになってきたね」と話していた。

 史上37人目、球団史上3人目の通算400勝を達成した落合監督は、会心の勝利を冷静に振り返った。「各打者が低めを捨てた?

 何にも言ってません。シモ(下柳)はやられるときもあれば、打てるときもある。初めて対戦するわけじゃない」。選手個々が天敵攻略を意識し、打つべき人が打った結果の勝利。バスに乗りながらすすったコーヒーの味も格別だったに違いない。【村野

 森】

 [2009年4月16日12時26分

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