<日本ハム7-1オリックス>◇16日◇札幌ドーム

 バットだけでなく、足も全開。日本ハム打線が「足攻」でオリックス投手陣を攻略した。6回2死一、三塁から森本稀哲外野手(28)金子誠内野手(33)が、重盗を成功させた。金子誠は、前日の7試合連続二塁打の日本記録達成に続き、プロ初の本盗となった。2回には2つの併殺崩れと失策に乗じ4点を奪い逆転。適時打なしで7得点と、投打に「走」もさえ渡り貯金を1とした。

 即興ではなく、緻密(ちみつ)なビッグプレーだった。日本ハムの会心の足攻が、さく裂した。6回2死一、三塁。稲葉の2球目、一塁走者の森本がスタートを切る。遊撃手・大引が二塁ベースへ向かった瞬間、三塁走者・金子誠が本塁へ突進した。ホームへ返球できないほど、鮮やかな本盗が決まった。オリックスベンチがあっけに取られた、ダメ押し7点目だった。

 どんな成功プロセスだったのか-。プロ入り初のホームスチールを決めた金子誠は「それは言えないでしょう」と明かさなかったが、明らかに狙ってのものだった。

 これ以上ない状況だったと言える。まずは打者稲葉。相手が警戒するチーム一の強打者で、じっくり勝負するのがセオリーだ。一塁走者の盗塁は予想しても、三塁走者とのダブルスチールは仕掛けてこないと、想定しやすい場面だった。森本へのサインは、故意にスタートを遅らせる「ディレードスチール」。遊撃手または二塁手が虚を突かれ、ベースカバーが遅れる可能性が高くなる。本塁への送球体勢が整わず、成功確率が上がる。実際、大引はギリギリでベースへ入った。

 決まり事があったことも、予想できる。二塁手ではなく、遊撃手がベースへ入った時に限定し、スタートを切るということ。遊撃手の場合は、背中越しの三塁走者がスタートを切ったかどうかの確認が遅れる。清水外野守備走塁コーチは「想像にお任せします」と話すにとどめたが、リスクを最小限にとどめた、巧妙なベンチ、走者の息が合った“連係プレー”だった。

 適時打なし、犠飛、全力疾走での併殺逃れなどで7得点で快勝。相手にダメージたっぷりの白星の象徴が、完ぺきな重盗だった。梨田監督は「相手のスキを突いた大きな1点だったね」とご満悦だ。真実はチーム内、当事者のみが知るが、ただの偶然ではなく、必然だった。【高山通史】

 [2009年4月17日11時27分

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