<阪神4-3中日>◇16日◇甲子園

 中日井端弘和内野手(33)が今季1号を放った。2点を追う4回、阪神久保から甲子園への右翼ポール際へ芸術的な1発。右目の異常でキャンプを3週間離脱し、ここまで打率1割台に低迷していたが、初アーチ&初打点で復活へのきっかけをつかんだ。結局1点差で逃げ切られたが、手応えは十分。昨年6勝17敗1分の阪神に1勝1敗とし、1歩も引かない姿勢を見せつけた。

 井端にしか打てない右方向への1発だった。阪神久保の134キロの初球の外角カットボール。ギリギリまで引きつけ、右足を引き、コンパクトにたたいた。放物線が右翼ポール際に吸い込まれるのを見届けても、ニコリともしない。「振ったら当たっただけですよ」。2点を追う4回先頭の打席。01年9月22日に谷中から打って以来2本目の甲子園アーチで、今季初打点をマークした。

 苦しんでいた。右目の異常で沖縄・北谷キャンプを3週間離脱した。医者からトレーニングを禁じられ、走ることも控えた。復帰後はオーバーワークに気をつけながら徐々にペースを上げたが、調整遅れは明らか。二塁へのコンバートに挑戦していたが、結局昨年までの遊撃に戻り、万全でないまま開幕を迎えた。開幕後は打率1割台に低迷。「今年は練習していないので4月はこうなると思っていた」と話した。

 それでも、気持ちはなえていなかった。前日15日の阪神戦では下柳から左ひざ下に死球を受け昏倒(こんとう)したが、痛みをこらえてフル出場。この日は試合前に兼任コーチ立浪に打撃指導を仰いだ。左翼ライン際で向かい合い、タメのつくり方の手本を示された。感覚を取り戻そうと、鏡映しのように動きをまねた。

 遊撃守備でも執念を見せた。7回、2点勝ち越されなお2死二、三塁の場面。新井の三遊間への当たりを逆シングルでスライディングキャッチ。起き上がりざまノーステップで一塁にノーバウンド送球し、ピンチを脱した。抜けていれば2点。一塁送球が間に合わなくても1点。「迷惑かけてるんで」と振り返った。

 結局、1点差に追い詰めながら逃げ切られた。それでも落合監督は「連勝を逃した?

 そんな簡単にはいかないよ」と前を向いた。井端の執念が続く限り、今年の中日は転んでもただで起きない。【村野

 森】

 [2009年4月17日11時18分

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