<中日6-2阪神>◇22日◇ナゴヤドーム

 浅尾が続いた!

 5割復帰だ!

 中日浅尾拓也投手(24)が、阪神打線を7回4安打2失点に抑えて開幕戦以来となる今季2勝目を挙げ、チームを勝率5割に引き戻した。前日連敗を4で止めた朝倉に続き、開き直って相手打線の勢いを封じた。阪神からはプロ3年目で初勝利を挙げ、これでセ全球団から白星をつかんだ。落合竜は5カードぶりの勝ち越しを決め、昨年6勝17敗1分の阪神にこれで3勝1敗。再び上昇気流に乗った。

 浅尾が悪夢を気力で封じ込めた。3点リードの6回表1死一、三塁。勝ち越した直後のわずかな心の緩みがピンチを招いた。前回登板の16日阪神戦も同じ久保との投手戦だった。浅尾は根負けし、負け投手になっていた。同じ間違いは繰り返せない。「1点はやっていいんだ」。森バッテリーチーフコーチの助言で我に返った。金本を歩かせ、新井は147キロの真っすぐで遊ゴロ。三塁走者の生還を許して2点目を失ったが、次の代打桧山も二ゴロに仕留めた。

 もう、怖いものはなかった。7回は狩野、平野を簡単に打ち取り、葛城は3球三振に仕留めた。最後は145キロのインハイ真っすぐ。「思い切って投げた」。迷いなく投げ込んだボールは、乾いた音を残して小山のミットに吸い込まれた。立ちつくす打者を見ようともせず、小走りにマウンドを駆け降りた。7回4安打2失点。開幕戦以来の今季2勝目。お立ち台で笑顔をはじけさせた。

 「何とか勝ちたかった。朝倉さんが連敗を止めてチームに勢いが出たので、それを止めたくなかった」。

 前夜連敗を4で止めた朝倉に続いた。絶対に続きたかった。昨秋、愛知県阿久比町で行われた投手陣キャンプ。投げ込み、ノック、陸上トレ、水泳トレなど連日8時間のメニューで声も出なくなるほど鍛えられた。苦しいときほど冗談を言う朝倉に救われた。朝倉は血行障害の不安を抱えていたが、弱みは見せなかった。あのキャンプを経て自信が生まれ、今季につながった。

 この日負ければ、中継ぎ再転向も覚悟していた。昨年は中継ぎ。森コーチから「やってみろ」とハッパをかけられ、先発ローテ入りに挑戦していた。開幕投手に指名され、勝ち投手になった。だが、勝てなくなった。「今日は1回、1回と思って投げた。5回まで持たなくていいと思っていた」。昨年務めたセットアッパーとしての心構えを思い出し、無心になった。

 これまで11回対戦して勝てなかった阪神に勝ち、セ・リーグ全球団から勝ち星を挙げた。だが、思いは早くも次回登板だ。「先頭に四球を出したり反省点はあります。いつか、今日はめっちゃよかったと言われる投球をしたい」。勝率5割に復帰させたチームに、さらに勢いをつける。【村野

 森】

 [2009年4月23日12時21分

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