<ソフトバンク0-4楽天>◇26日◇福岡ヤフードーム

 ノムさん、1500勝に王手!

 楽天が26日、ソフトバンクを完封リレーで破り、首位タイに再浮上した。この日の勝利で野村克也監督(73)の監督通算成績は1499勝1505敗となり、歴代5人目の通算1500勝監督へ、あと1勝に迫った。主砲・山崎武司内野手(40)が先制4号2ランを放ち、投げては、先発ダレル・ラズナー投手(28)に続き、2番手・小山伸一郎投手(30)が3回無失点で2セーブ目を挙げる快勝。前日25日、4点差を守れずサヨナラ負けした悪夢を1日で振り払った。28日からは本拠地6連戦。仙台で、新たな金字塔が生まれるのは必至だ。

 ベンチ裏の会見場に、野村監督は両手をパーに広げ、跳びはねるように、入ってきた。「ナイスゲーム!

 タケシの先制パンチが効いたな。ありゃガックリやろ、杉内さん。1発ちゅうのは両軍とも影響力が大きいからな。ラズナーも予想外だったな。5回3失点と踏んでいたけど、予定が狂っちゃった。うまくいくときは、うまくいくな」と満面の笑みを浮かべた。

 監督を務めて24年。1499回目の至福の瞬間だった。「ゲームセットの瞬間まで、最悪の事態を想定するのが監督」というのが持論。会見が終わればコーチ会議で次戦へ頭は切り替わる。勝利直後だけは、純粋に喜びに浸っていられる。1500勝にあと1勝とし「王手?

 そうだね。ホームでできるのが理想だから」と、またニンマリ。28日からは本拠地Kスタ宮城で6連戦。温かい声援を送ってくれる地元ファンの前で、金字塔達成が巡ってくることを喜んだ。

 野村監督が先制アーチを絶賛した山崎武も、ご機嫌そのもの。「1500勝にリーチか?

 リーチ一発決めましょう!」と豪快に笑い飛ばした。チームばかりか、自身にとっても大きな1発だった。4月25日に今季初めて4番に座った。ただ、6打数無安打。4番以外の先発全員が17安打を放つ中、1人蚊帳の外だった。「昨日の6タコ分を取り返す」と意気込み臨んだ試合。過去3年28打数3安打14三振と、苦手の杉内から意義のある一打。「2、3打席目もいい感じだったから、次に打てば本物かな?」。40歳にして苦手克服へ意欲十分だ。

 主砲が打って、投手がゼロに抑えての快勝。さらに、首位再浮上。延長11回サヨナラ負けを喫した、前日の悲劇的な敗戦の翌日だけに、野村監督の喜びも大きかった。「優勝、もしくはAクラスに入るためには、連敗は許されない。首位?

 順位はいいけど、踏ん張っているよ。上出来ですよ。ちょっとチーム全体に力が付いているのかな。去年の今ごろはバタバタと落ちていたけど、踏ん張っている。それは力と評価していいのかな」と、4年目の指導の成果を実感していた。

 3000を超える試合を経ても「野球好き」は変わらない。4時間39分の敗戦を食らった前夜、橋上ヘッドコーチを相手に宿舎の食堂で1時間ボヤキ倒した。早起きが苦手なため「何で明日は1時からなんだ!

 何とかしろ!」など、理不尽なボヤキも交じるが、野球の話題は尽きることがない。試合前から「眠い」とボヤいていても、ホテルでは、ベンチが臭くなるほど大量のニンニクを「やけ食いだ」と、かじりながら、メジャーのテレビ中継をチェック。「野球って面白いな。毎年新しい知識が増えて、今でも毎年、うまくなっている。だから監督を辞められない」とも話す。監督通算1500勝1500敗の「ダブル1500」達成者は過去にない。73歳でも衰えぬ情熱が、前人未到の記録をたぐり寄せる。【金子航】

 [2009年4月27日10時17分

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