<広島5-0巨人>◇28日◇マツダスタジアム

 「赤松の足」でG倒!

 広島が「足攻」を見せ、快勝した。0-0で迎えた6回裏。猛攻に導いたのは、赤松真人外野手(26)の俊足だ。二走として、天谷の送りバントの際に好スタートを切って鶴岡の野選を誘うセーフ。無死一、三塁と好機を拡大し、直後の5点奪取に結びつけた。26日阪神戦(マツダ)で左肩を負傷したが、ガッツあふれるプレーでリードオフマンとして本領発揮した。また、先発大竹寛投手(25)も完封で今季初勝利を飾った。

 打ちあぐねていた停滞ムードを、ワンプレーでガラリと変えた。両チーム無得点で迎えた6回無死二塁。天谷が試みた送りバントは本塁手前に高く弾む。二走赤松は黒土を蹴って三塁へ。鶴岡も迷わず送球する。間一髪のタイミングだったが、ボールが到達したときには、すでに赤松の足が先に達していた。無死一、三塁の好機に広げて一気に攻める。シーボルの中犠飛で先制のホームを踏んだ。

 赤松

 僕のスタートが早かったからじゃない。完ぺきにセーフですから。タッチもされていません。足の遅い選手なら、アウトになっていると思います。

 持ち前のスピードを生かしたプレーが猛攻を呼んだ。小窪がエンドランを決めてタイムリーを放つと、梵の左中間三塁打でさらに2点を刻む。ブラウン監督も「天谷のバントは良くなかったけど(赤松が)好スタートでセーフになった。足を生かす質の高さが光った」とたたえる。理想的な攻撃で、巨人の戦意を喪失させた。

 赤松は26日阪神戦でダイビングキャッチを試みた際に左肩を負傷。27日に「左肩関節ねんざ」と診断された。この日は、同個所をテーピングで固定して試合に臨んでいた。“鉄人イズム”も赤松の支えだ。昨年は阪神金本の著書『覚悟のすすめ』を読み込んだ。「故障とケガって意味が違う。試合に出続けることが大事なんです」と話したこともある。レギュラーを不動のものにするため、決して弱みは見せない。

 赤松

 大丈夫ですよ。出るからには(痛みは)関係ないです。1軍でプレーするからには、完全なプレーをしないといけない。

 機動力野球の申し子が、頼もしげに言う。得点力不足が課題になっているが、見本のような攻撃を実践してみせた。首位巨人に不敗の3勝目(1分け)で、勝率5割に復帰。赤ヘルナインが、グラウンドで活気を取り戻した。【酒井俊作】

 [2009年4月29日11時32分

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