<阪神3-2横浜>◇30日◇甲子園

 またアニキが決めた。阪神の金本知憲外野手(41)が横浜6回戦(甲子園)で今季2度目のサヨナラ安打を放った。2点を追う9回2死からの5連打大逆転劇の最後を中前打で締めた。これで4月は打率、本塁打、打点の3冠王で、特に自己新の月間30打点は40代では史上初の快挙となった。鉄人のサヨナラ打で3位に浮上した阪神は、2日から、連敗を脱出した首位巨人と甲子園で激突する。

 一塁ベースを回ると、笑顔のチームメートに次々と手荒い祝福を受けた。頭をはたかれ、ユニホームを引っ張られ…。金本の全身に走る心地よい痛みは、一瞬で喜びに変わった。

 金本

 正直、まさか最終回にこうなるとは思わなかった。おいしい場面というよりも、打てなかったらヤバイという感じだった。あそこまで今岡、平野、関本、言い忘れていたけど鳥谷もよくつないでくれた。

 がけっぷちからの猛反撃だった。8回を終えて散発4安打。0-2で9回2死。完封負けまで、あと1人。それでも阪神ナインは逆転をあきらめなかった。代打今岡から1番平野、2番関本、3番鳥谷が4連打を決め、まさかまさかの同点劇。なおも2死一、三塁。ナインの思いを一身に背負って4番金本は打席に立った。

 マウンドには横浜守護神の左腕石井。「あまり覚えてないけど気持ちだけだった」。カウント1-1からの3球目だ。外寄りの140キロ直球をコンパクトに振り抜いた。センター返し。二塁手梶谷が飛びついたその先を、強烈なゴロが抜けていった。

 試合前の昼時。1本の電話連絡を受けた。日ごろから慕う杉田トレーナーからだった。用事があっての電話だが、体調を気にかけてくれていた。「飛ばしすぎちゃうか?」。このオフ、2年連続の左ひざ手術からスタートした。長いリハビリ生活を知る照れ屋のベテラントレーナーなりの気遣いだった。

 昨季4月に通算2000安打を放った際、お手製のマッサージ券をプレゼントしてくれた相手だ。今年の4月3日、金本の41歳誕生日が終わると「何もプレゼントできてないな」と後悔していた同トレーナーから、高価な贈り物にも負けない温かいゲキをもらった。その言葉に応えるかのように、サヨナラ打を放った。

 この日の午後3時半。杉田トレーナーは鳴尾浜で「カネは状態が悪い時の方が、力が抜けて打つんや」と冗談交じりに話した。その6時間後、金本は甲子園のお立ち台に上がり「(状態は)かなり悪い。悪いから力が入らないで打てるんじゃないですか」と笑った。

 年齢を感じさせない金本の驚異の30打点目でチームは再び5割復帰。「何としても勝ちたい」。大爆発の4月を最高の形で締めくくり、反攻の5月に目を向けた。【佐井陽介】

 [2009年5月1日8時22分

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