<日本ハム6-5西武>◇3日◇札幌ドーム
涙がこぼれ落ちた。4万観衆が見守るお立ち台で、日本ハム稲葉篤紀外野手(36)が男泣きした。おえつを漏らしながら、必死にマイクで思いを届けた。「う…、う…、うれしかったですね…。いいところで打てていなかったですから」。チーム3年ぶりの3試合連続延長戦。すべて4時間以上というゴールの見えない西武との死闘、自身の“スランプ”とも決別する1発となった。
延長12回1死。小野寺の剛球に食らいついた。カウント2-2からフォークをカットし、迎えた6球目。甘く入った外角高め速球を中堅右へ打ち込んだ。ヤクルト時代の01年以来8年ぶり、日本ハムで初のサヨナラ本塁打はチームに2連勝と2位死守をもたらした。
重圧との闘いだった。4月8日ロッテ戦で、初の3打席連続本塁打を放った。その試合以来、91打席ぶりの4号だった。打率は3割8厘も、得点圏打率は1割6分1厘に急落。焦りからか「打ちたい病がある」と、抜群の選球眼も狂った。ボール球に手を出しての凡打が増えた。早出特打などで打開を図りながら、やっとトンネルを抜ける光が見えた。「こんなにつらいのは久しぶりだった。自分も逃げずに立ち向かっていこうと思った」と笑った。
悩む稲葉に「神様が与えてくれた試練だと思ってやればいい。楽しんでやればいい」と声をかけた梨田監督も「稲葉も人間なんだからね。やっと札幌のファンの前で、花が咲いたね」と胸を詰まらせた。涙の乾いた顔で、稲葉はこう言った。「自分の中でいけるような感じがある」。チームリーダーがやっと復活を遂げた。【高山通史】
[2009年5月4日9時10分
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