<ロッテ1-4中日>◇22日◇千葉マリン

 中日森野将彦内野手(30)が「復活弾」で勝利を呼び込んだ。ロッテ1回戦(千葉マリン)の3回に先制の6号2ラン。4月18日巨人戦(ナゴヤドーム)以来、じつに28試合、121打席ぶりとなる本塁打は決勝弾となった。不振にあえいでいた3番打者が復活の兆しを見せてチームは再び5割復帰へ王手。交流戦での逆襲へ、手ごたえのある1勝だった。

 打球は千葉マリンの強風を切り裂いて右翼へ伸びた。森野は一塁手前でスタンドインを見届けると、久しぶりの感触をかみしめるようにベースを一周した。「正直、ほっとしました。自分でも情けなくて…。ヒットさえ出ていなかったので何とか1本と思っていた」。3回1死一塁、ロッテ先発大嶺の内角直球を完ぺきにとらえた。先制の6号2ラン。4月18日巨人戦以来、じつに121打席ぶりの本塁打は決勝弾となった。

 無心にバットを振り続けた先にトンネルの出口があった。練習日だった前日21日、フリー打撃の後に落合監督に呼び止められた。ノックバットを渡され、左翼へのノック練習を命じられた。トップの位置を確認し、バットを内側から出す独特の練習法だった。打率2割3分7厘と不振の3番打者に対し、ついに3冠王のメスが入った。

 森野は落合監督に命じられたまま、ひとかご分のボールを約40分間かけて打った。さらに居残りフリー打撃。すべて合わせて約70分、500スイング。全体練習はとっくに終わっていたが、ほとんどの選手が見守ってくれていた。立浪、和田、井端はアドバイスもくれた。チームの期待を痛いほど感じた。ただ、結果でしか「恩返し」はできない。「何も聞かないでください…」。森野は言葉少なに球場を去り、この日のゲームにかけていた。

 初回には大嶺の変化球を鋭く右翼線へはじき返す二塁打を放ち、6試合ぶりのマルチ安打を記録した。

 「あの1打席目が大きかった。ストライクを振ればいいんだと思えた。昨日は、井端さん、和田さん、そして立浪さんまで…。ああいう人までアドバイスをくれた。何とかしたいという気持ちがありました」。

 試合後、落合監督は「打線が戻った?

 だれが戻したんだ。だれも戻っていないだろう」と楽観ムードを一蹴したが、悩める3番打者が兆しを見せて、チームは再び5割復帰に王手。課題の打線にまた1つ、明るい材料が増えたことは間違いない。【鈴木忠平】

 [2009年5月23日11時28分

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