<中日2-3楽天>◇27日◇ナゴヤドーム

 マー君が7連勝で、ハーラーダービー単独トップに立った。楽天田中将大投手(20)が中日1回戦(ナゴヤドーム)で先発し、7回を投げ7安打2失点(自責1)で、プロ史上5人目の開幕から7戦7勝を飾った。交代した1点リードの8回、リリーフ陣が無死満塁のピンチを招き勝ち投手の権利が消滅しかけたが、有銘兼久投手(30)が無失点に抑えアシストした。尾張(オワリ)名古屋でも、勢いは止まらなかった。

 田中は、ひたすらベンチで祈った。8回、降板した直後に迎えた無死満塁と絶体絶命のピンチ。うずく右肩をアイシングしながら1球ごとに声をからして声援を送った。「ドキドキした?

 そんなことないですよ」。無死満塁でマウンドに立った4番手の有銘が連続三振を奪い、代打の立浪を投ゴロに仕留めた。先輩左腕の好救援に、険しかった顔に笑みがはじけた。試合後は手元のウイニングボールを「今日は有銘さんですよ」と、有銘の手にねじ込んだ。

 重圧に苦しめられた。球速こそ151キロを記録したが、回を追うごとに安打を重ねられた。「調子は悪かったけど、それ以上に中日打線が普通に投げさせてくれなかった。スライダーも打ってきた」と分析。失点した4、7回はいずれも先頭打者の安打から。7回2失点の数字とは裏腹に、強烈なプレッシャーに耐え続けていた。

 右肩の不安とは今も闘っている。勝ち試合としてはプロ入り最少の86球で降板した。今季は4連続完投勝利を挙げた直後の4月29日に、右肩の強い張りで出場選手登録を抹消。先発ローテを1回飛ばす緊急処置が施された。佐藤投手コーチは降板理由を「アクシデントだったら投げられないよ。でも疲れがたまっているのは事実」と説明した。試合前から「5回とか6回で降板してほしいくらい」と完投など無理と話す関係者の声もあった。マー君の精いっぱいの努力の結果が、7回86球降板だった。

 それでも、野村監督は厳しかった。「6回で『肩がつった』とか何とか言ってきた。黙って7回は行かせたんだ。それで150キロ出ているじゃないか…。心身インフルエンザだよ。まん延しているよ。明日からマスクしてこよう。次回登板に影響?

 知らない。全治3日らしいよ。こっちが休みたいわ。まあ、来年からゆっくりできると思ってやっているけど」とボヤいた。幸い右肩に異常はなく次回登板は問題なさそうだ。

 苦しんだ末の勝利ではあったが、これで史上5人目の開幕7戦7勝。規定投球回数到達者としては唯一の「不敗」も守った。田中は「(リリーフとは)助け合いですから。よければ完投したいし、次は楽にマウンドに上がってもらえるように調整したい」と前を向いた。日本ハム・ダルビッシュ、西武岸と6勝で並んでいたが、ついにハーラーダービー単独トップに立った20歳の背中は、さらに大きくなった。【小松正明】

 [2009年5月28日8時34分

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