<広島4-3ロッテ>◇28日◇呉

 大物の風格を漂わせるデビュー戦だった。広島ドラフト1位ルーキーの岩本貴裕外野手(23=亜大)がプロ初昇格し「7番右翼」で先発出場。初打席でプロ初安打を放った。2回2死。ロッテ小林宏に対しても動じない。カウント1-2からの4球目。外角高めチェンジアップを的確にミートし、1打で中前に運んだ。

 「この1本で喜んでいてもいけない。1本1本の積み重ねが大事ですから。積極的に、というか、とにかく初球からどんどん甘い球を打っていくことですね」

 春季キャンプから1軍に帯同したが、オープン戦でプロの攻めに苦しんだ。躍動感のある打撃フォームは影を潜め、当てるだけの内容で凡打を重ねた。3月中旬に2軍行きを告げられる直前。不調を案じた亜大時代の関係者から「思い切って行けばいいんだ。小さくなるな」と電話で助言を受けた。迷いを断ち切った。ウエスタンでは7本塁打をマーク。安定した成績を残し、1軍昇格につなげた。

 この日は1安打に終わったが、チームに新鮮さをもたらした。ブラウン監督も「初ゲームの緊張もあっただろうが堂々とやってくれた」とたたえる。これで今季初の4連勝に伸びた。初々しい若武者が加わり、チームをさらに上昇気流へと押し上げる。【酒井俊作】

 [2009年5月29日12時58分

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