<ソフトバンク9-5中日>◇30日◇福岡ヤフードーム

 登録名を「仁」から「仁志」に替えたばかりのソフトバンク多村がダメ押し犠飛&今季1号でチームの交流戦首位固めに貢献した。今季初めて「6番右翼」として出場し、8回の第4打席に中日5番手平井のフォークボールをバックスクリーンに打ち込んだ。

 「フェンス直撃かと思って全力で走ったけど、みんな止まっていてびっくりした」。昨年4月13日(西武戦、福岡ヤフードーム)以来413日ぶりのアーチに、守備でも流れを引き寄せた。3回2死二塁。井端の右前打を猛然とダッシュして捕球すると、無駄のない動きで好返球。本塁寸前に走者平田を刺し、先制点を与えなかった。

 3月25日のオープン戦(対阪神、福岡ヤフードーム)で二塁帰塁の際に右肩を負傷。2軍でのリハビリ生活が続いた。「鳥越(2軍)監督や復帰に協力してくれたファームの方々に感謝したい」と話した。22日の1軍昇格に合わせ「気分転換」として登録名を「多村仁志」に改名したが、その後は19打数9安打、打率4割7分4厘と効果が出ている。

 関東遠征で自宅に帰れたのも大きかった。「家族といると安心する」。前日29日にチームは関東遠征から福岡に戻った。横浜市内の自宅を出発の日に9歳と3歳の娘に「(福岡へ)行かないで」と言われることが辛かった。だからテレビを通じて最高の1発を届けた。

 メジャーでは走攻守そろった選手を「5ツール」と表現されるが、多村の信条は、これにファッションを加えた「6ツール」。その男が1軍合流時に金色に染め上げた髪を、この日茶色に変えて登場した。「連勝が止まったので」。気分も変えてチームに貢献した。秋山監督も「最後、多村の良かったよなあ。ホームランすごい当たりだった」と手放しで喜んだ。チームは2週間以上も連敗を喫することなく、貯金を最多タイの3に戻し、この日ゲームのなかった2位楽天との差を0・5ゲームとした。【倉成孝史】

 [2009年5月31日9時14分

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