<オリックス6-4横浜>◇30日◇スカイマーク

 オリックス金子千尋投手(25)が「野茂効果」でチームトップの5勝目を挙げた。野茂英雄テクニカル・アドバイザー(TA=40)にミーティングで指摘されたことを忠実に実行。7回を2安打無失点に抑えた。相次ぐ故障者続出の中、打線もホセ・フェルナンデス内野手(34)が移籍後初の1試合2発を放つなど奮起し、投打がかみ合って連敗を3で止めた。

 オリックス先発の金子が、横浜を圧倒した。最速150キロの真っすぐと110キロ台のスローカーブで緩急自在。ここに切れ味鋭いスライダーも交え、まともなスイングを許さなかった。三塁を踏ませず7回を2安打無失点。連敗を3で止め、チームトップの5勝目を挙げた。

 「何とか連敗を止めたかった。僕の勝ちもうれしいけどチームの勝ちが1番」。快投には野茂効果も大きかった。野茂TAがこの日、1カ月ぶりにチームを視察。連敗中のチームにカツを入れるべく、試合前ミーティングでは金子ら先発陣を前に熱弁を振るった。

 横浜対策のビデオ研究では「分析というと相手打者のことばかりを考えるが、あくまで自分の投球あっての分析が重要」と力説。「投球は相手に合わせるのではなく、もっと自分中心で考えていい。自分の球に自信を持て」と説いた。相手の弱点攻めに神経をすり減らすのではなく、自分の長所を最大限に発揮すれば結果はついてくるとの考えだ。金子も野茂TAの講義で原点に返っていた。

 「得点圏に走者がいった時の初球も、意識を持って投げろとも言われました」

 得点圏に走者を置き、不用意に投じて痛打されることが多かった初球も、金子の課題だった。だがこの日は野茂TAの教え通り、2度の得点圏では一呼吸置いて慎重に配球。2回は細山田を4回は吉村を、いずれも三振に仕留めた。佐々木投手チーフコーチは「野茂TAは、セットからの投球が良くなったとほめていました」と笑顔だ。

 チームはこの日、下山が右肩の故障で離脱。打線はローズ、カブレラ、後藤らに続く故障者続出で、北川までもが、右ふくらはぎ痛を訴え途中交代。暗雲立ちこめる中、金子の力投はまさに“すくい投げ”の1勝だった。

 [2009年5月31日11時54分

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