楽天岩隈久志投手(28)が25日、右ひじ痛の影響から復帰登板を遅らせることになった。14日横浜戦(Kスタ宮城)の先発後、疲労による「右上腕三頭筋付着部の炎症」のため18日に出場選手登録を抹消されていた。当初は30日の日本ハム戦(札幌ドーム)で1軍復帰する予定だったが、早くても7月10日からのソフトバンク3連戦(福岡ヤフードーム)以降にずれ込む。26日からリーグ戦が再開されるが、チームはエース抜きでスタートを切ることになった。

 リーグ戦再開に向け汗を流す選手の中に、エースの姿はなかった。24日まで1軍で調整を続けてきた岩隈だが、この日予定されていたブルペン投球をキャンセル。1軍を離れ仙台・泉の2軍練習場で調整を行った。杉山投手コーチは「佐藤さん(投手コーチ)から『9回を投げきれる状態にしてくれ』という話があった。岩隈の方からは『もう少し時間を下さい』ということだったので。本人次第です」と説明した。

 18日の出場選手登録抹消以降、1軍に帯同してきた。それでも体調を万全に戻すことに集中するため、本隊を離れる選択をとった。佐藤投手コーチも「時間を取らせることにしました」と説明した。

 急ピッチに仕上げた代償だ。3月のWBCでは先発の柱として活躍、世界連覇に貢献した。チームに戻ると開幕投手を務め、14日まで1度も先発ローテーションを飛ばすことなく投げてきた。球数も制限し、1年間ローテーションを守ることを第1目標に挙げていた。だが、3月は本来であれば開幕に向け調整段階。投球動作に必要な筋力を養う時間が少なかった結果、古傷の右ひじや右肩への負担が増した。自らも「投げながら体を強くしないと」と“投げる体力”の強化が必要だと感じていた。

 再スタートを前に先発2本柱の1人を欠き、野村監督の声にも勢いがなかった。「エースがダウン。代わりの先発?

 おらんなあ」とため息をついた。開幕以来「岩隈、田中で貯金20」を目指していただけに、エースの復帰先送りには頭が痛い。早くとも7月10日のソフトバンク3連戦から、遅ければ22日の前半戦最終戦に間に合うかどうか。昨季、7月に急降下した例があるだけに、悩みは深かった。

 回復具合が心配される岩隈だが、まとまった時間をもらったのは今季初めてだ。2月の久米島キャンプも中旬から日本代表合宿に参加したため、じっくり体を鍛える時間がなかった。右ひじ痛の解消とともに、戦うための体づくりにも成功すれば、昨季の絶対的エースが復活する。【小松正明】

 [2009年6月26日8時17分

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