巨人がヤンキース松井秀喜外野手(35)獲得に動く考えがあることが26日、分かった。滝鼻卓雄オーナー(69)がこの日、今季でヤンキースとの契約の切れる松井が日本球界復帰の場合、巨人への復帰を熱望した。仮定の話とした上で「もし日本に帰ってくるなら、やはり巨人に帰ってきてほしい。我々だけでなく、ファンもそれを望んでいるでしょう」と話した。現在、背番号55はルーキー大田が受け継いでいるが、復帰のあかつきには松井に返す用意があることも示唆した。

 FA宣言し、メジャー入りした松井への思いは、今もまだ変わらないままだった。マスコミの注目度が高い巨人では、極力“仮定の話”をしないが「松井が日本球界復帰するならば」という質問に、滝鼻オーナーは敏感に反応した。

 「今はヤンキースと契約中の選手。いろんなことを言ったらいけないけど、近い将来戻ってくるなら、やはり巨人に帰ってきてもらいたい。それは何よりファンが望んでいることでしょう。そのときはボクが誠意を尽くして働きたい」

 静かな口調で、穏やかな表情で滝鼻オーナーは話したが、熱意は十分。松井の代名詞にもなっている背番号55は、今季ドラフト1位で入団した大田が背負っている。だが同オーナーは「55は預かっているつもり。それは原監督やフロントがしっかりとした結論を出しますよ」と松井に“返還”する意志があるこも示唆した。清武代表も「きちんと考えています」と明言した。

 大田が背番号55を付けるにあたっては、清武代表が松井にわざわざ電話連絡し「背番号55を貸してもらいたい」と承諾をもらって実現した経緯がある。大田は松井と同じ高校卒業の長距離砲であり「松井選手のような選手になってほしい」という願望を込めての継承であり、本家の松井が巨人復帰となれば話は別。もちろん、松井が背番号55を希望するかどうかは分からないが、原監督が東海大相模高の後輩でもある大田に話す準備もある。

 松井の存在の大きさを認識している大田も禍根を残すような性格ではない。背番号55を大田に渡した時点で、周囲では“松井不要論”が持ち上がったが、松井獲得に向けて、背番号の問題は、支障にはならない。

 一番の問題は、松井が日本球界への復帰意志があるかどうかだけ。現時点では、ヤンキースとの再契約は難しいとみられているが、松井のメジャー残留希望は高いと言われている。それでも松井の日本復帰待望論は根強く残っており、正式ではないが阪神やオリックスも獲得の意志があることを明らかにしている。巨人の滝鼻オーナーの発言で、松井の今後の動向がさらに騒がしくなってきそうだ。

 [2009年6月27日7時53分

 紙面から]ソーシャルブックマーク