<広島2-3中日>◇26日◇マツダスタジアム

 中日森野将彦内野手(30)が64打席ぶりアーチとなる逆転8号2ランで、今季4度目の4連勝をもぎ取った。1点を追う9回、広島守護神永川のストレートを右翼席にライナーで突き刺した。ここまで三塁守備と打撃の不振に苦しんでいたが、ようやく復調のきっかけをつかんだ。キーマンが息を吹き返した落合竜は、再開されたリーグで首位巨人、2位ヤクルトを追いかける態勢が整ってきた。

 真っすぐしかない。森野はカウント0-2からカウントを取りにくる直球を待っていた。広島永川の144キロ。狙いをしぼって思い切り振った。鋭い弾丸ライナーが、広島ファンで埋まった敵地の右翼スタンドに突き刺さる。1点を追う9回無死一塁。6月3日以来実に64打席ぶりのアーチが、逆転の決勝8号2ランとなった。「完ぺきです」。完全に開き直っていた。

 長く、苦しいトンネルを抜けた。今季は出足からつまずいた。より力強い打撃を目指し、体重を90キロに増やしてシーズンイン。裏目に出たのか、いつしかバランスが崩れ、打てるはずのボールまで打てなくなった。方針変更し、86キロまで体重をしぼった。だが、あせるほど深みにはまった。6月3日からノーアーチ…。昨季の外野から再コンバートされた三塁の守備でもリーグワーストの14失策を記録した。「シーズン序盤からこんなに苦しんだことはない」。どん底だった。

 リーグ再開前日の25日、見かねた落合監督が助け舟を出してくれた。30分の個人ノック。容赦なく左右に振られた。ヘトヘトになった後に、ティー打撃も徹底指導された。顔が前に突っ込む悪癖、構えの際に右翼方向を向いてしまう体のねじれを矢継ぎ早に指摘された。悪いのは自分が一番わかっていた。春季キャンプなみの猛特訓に、必死に食らいついた。

 復活のアーチは会心の三塁守備から始まった。7回、1点勝ち越され、なお2死満塁のピンチ。梵の三塁線へのライナーを横っ跳びでキャッチした。抜けていれば大量失点していた場面。前日と特訓と同様に無心で跳び、自らの打撃につなげた。「監督の指導?

 試合が始まったらそんなことは言ってられない。勝ってよかった。すべては結果ですから」。はしゃいでる暇はなかった。

 悩み抜いたキーマンが復調すれば、中日打線に勢いがつく。「(広島)ルイスのホームランは大きかったな。いいパワーしてるよな。打者顔負けだ」。あえて決勝弾のシーンに触れなかった落合監督も、森野の復調に手ごたえを感じたに違いない。【村野

 森】

 [2009年6月27日10時41分

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