<阪神3-5横浜>◇27日◇甲子園

 阪神金本知憲外野手(41)が約1カ月ぶりとなる6月初アーチで意地を見せた。横浜の天敵三浦を打ちあぐねたが、工藤にかわった8回、5月31日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来、27日ぶりの13号ソロを右翼スタンドにたたき込んだ。現役投手最年長46歳1カ月の鉄腕に、野手最年長41歳2カ月の鉄人が本塁打をお見舞い。40代が40代からの本塁打は、長いプロ野球史上でも2度目という珍しい一撃になった。

 気まぐれな風に負けない。力強い打球が右翼席に飛び込む。磨き抜かれた技と技の勝負。軍配は金本に上がった。

 数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテラン2人の対決が実現した。4点を追う8回1死。41歳金本の打席を前に、「ハマのおじさん」こと46歳工藤がマウンドに上がった。合計87歳の味わい深い戦い。カウント2-1からの4球目だ。外寄り119キロカーブをアニキが強振。13号ソロで反撃ムードを一気に高め、代打高橋光の1号2ランも呼び込んだ。5月31日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来、27日ぶりの1発。ようやく出た6月第1号だった。

 なかなか結果が出ない日々が続いたが、状態は上向いている。開幕前に痛めた右足内転筋の経過も良好だ。この日、右足太ももには薄手のテーピングが1枚巻かれていただけ。一時は三重にも巻かれていたが、外す1歩手前まできている。23日の練習中には80メートルダッシュに参加し、全力疾走を見せた。さらに30日の名古屋遠征からは、今季これまで封印してきた遠征先でのウエートトレーニングを解禁予定。権田トレーナーが4日前に「足の状態はいいと思います」と説明した通り、大好きな夏に向けて調子を上げてきた。

 この日は6回にも左前打を放ち、マルチ安打を記録。「前の打席でいいヒットが出た。(1発は)かなりの浜風だったけど、逆風をついて、うまく打ってくれた」。和田打撃コーチは久々の1発に加え、ボールに逆らわなかった打席も評価。真弓監督は「少し当たりが出ていなかったけど、これで吹っ切れるんじゃないか」と今後に期待した。試合は反撃及ばずに惜敗。金本は悔しさをにじませながらロッカールームに引きあげた。

 [2009年6月28日11時29分

 紙面から]ソーシャルブックマーク