<広島3-5中日>◇27日◇マツダスタジアム

 中日吉見一起投手(24)が、制球に苦しみながらも、広島打線を6回まで3失点に抑え、粘投でチームトップの7勝目を挙げた。

 「今日はコントロールが悪く、最低でした。何とか野手の皆さんに助けてもらった。チームが勝ったという点では最低限の仕事ができたのかもしれないが、自分としては最低の内容。次もこれを繰り返さないよう、もっと楽に抑えられるようにしたい」。チームの勝利にも笑顔はなく、反省ばかりが口をついた。

 実際に立ち上がりは最悪だった。先頭梵に中前打を許すと、犠打の後、今季初の暴投で梵を三塁に進め、赤松、栗原に連続四球。1死満塁となり、マクレーンに甘く入ったフォークをセンターに運ばれ、早々と2点を失った。持ち味のコントロールは完全に影を潜めた。

 今季13度目の先発で、初回に得点を許したのはこの試合が初めて。その後も制球は回復せず、序盤の3回までに与えた四球は今季最多タイの4つ。3回にも二塁打とこの日2度目の暴投でピンチを広げ、内野ゴロの間に失点。スライダー、フォークがコースに決まらず「途中からは、走者をホームに返さないようにと、切り替えた」ほどだった。

 だが、4回からは立ち直り、6回までの3イニングは無失点。落合監督は「(中日が7回に奪った)5点目どうのこうのじゃない。調子が良くても勝てない時もあれば、今日みたいにボロボロでも勝てることもある。それが分かってくれれば本人にとって大きいんじゃないか」と、悪いなりに試合をつくったことを評価した。

 日ごろからの割り切った考え方が、白星にもつながった。「先発は初回に点を取られても、ほかの回をゼロに抑えて、1試合の中で仕事を果たせばいい。そういう意味では毎試合1イニングで結果を求められる中継ぎよりも気持ち的に楽だと考えている」。点を取られてもイニングごとに気持ちを切り替える。その信念が、7勝目をもたらしてくれた。【福岡吉央】

 [2009年6月28日12時20分

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