<阪神3-6ヤクルト>◇4日◇甲子園

 阪神金本知憲外野手(41)が意地の14号2ランでヤクルトを追撃した。6回、19歳の由規に、強烈な浜風に、打ち勝つ21歳8カ月の年の差弾。初回の先制犠飛と含め4月17日以来78日ぶりの3打点以上と暴れた。惜しくもチームは3連勝を逃したが、これで金本の7月打率は5割。一人けん引した4月の大爆発モードに再突入。5番ブラゼルとの競演があれば、まだ…の期待を持たせてくれた。

 金本の打球は、浜風とのケンカに勝った。3点を追う6回無死一塁、カウント2-3。ヤクルト由規が投じたこん身の150キロ直球をジャストミートした。大きな放物線は、右翼手ガイエルのはるか頭上を通過した。甲子園の夜空で、右翼から左翼に吹きつける浜風と壮絶バトルを展開。最後は金本の執念が乗り移ったかのように右翼ポール際に入った。

 「当たりはよかったけど、風があるからね。あの風にとられるかと思ったよ」。独特の表現で振り返った。6月27日横浜戦以来6試合ぶりの14号2ラン。今季はこれで甲子園7本目、うち4本を、より浜風の影響を受けやすいとされる右翼に放り込んだ。

 「10代キラー」として風格を見せつける一発だ。41歳3カ月の金本が、19歳7カ月の由規から強烈な一撃を放った。金本が40代になって10代の投手から本塁打を打ったのは、昨年のヤクルト増渕、ロッテ唐川に続いて3人目。しかもこの日の由規とは21歳8カ月も離れている。3人のうちで自己最大となる年齢差も、天敵の浜風もはね返した。

 大好きな夏だ。7月に入って、筋力強化プランをスタート。前日3日に上半身、この日は下半身を鍛えた。権田トレーナーは「筋肉の強化をコンスタントに続けられている。毎年7月になると体重が落ちるそうなのですが、今年は落ちていない。状態を維持している」。41歳にして、なお10代の投手を粉砕する力強さは日々の鍛錬のたまものだ。

 中継ぎ陣が踏ん張れず、この日は敗れた。ただ2打数2安打3打点でチーム全得点を生んだ4番の存在が救いだ。7月は4試合で12打数6安打の打率5割。和田打撃コーチは「カネ(金本)の状態が上がってきた。つながりも出てくるから、なるべくカネの前に走者をためられるように」。春先は金本の孤軍奮闘が目立ったが、ここに来てブラゼルら仲間たちも奮起。真弓監督も「点は何とか取れる形になってきた」。借金9に逆戻りした。それでも4番は、プレーでチームを鼓舞し続ける。

 [2009年7月5日11時35分

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