ソフトバンク田上秀則捕手(29)が球宴に初選出された。05年に中日を戦力外となり、テスト入団から今季レギュラーを獲得。チーム最多タイ12本塁打のパンチ力を武器に「3球フルスイング勝負」で球宴アーチを誓った。杉内俊哉(28)ブライアン・ファルケンボーグ(31)両投手も選ばれ、ファンと選手間投票合わせて8人選出は12球団最多。

 球宴ジャックと呼べる8人選出。中でも異彩を放つのは苦労人の田上だった。函館から東京経由で大阪入りした6日、チーム宿舎で杉内、ファルケンボーグと一緒に喜びの会見を行った。

 田上

 まさか自分が球宴に出られるなんて。テレビで見ているだけでした。すごい選手ばかりだからいろいろ見て勉強します。

 球宴期間中の立ち位置は、これまでのテレビ画面の外から中へ。劇的な変化に照れ笑いを浮かべ続けた。

 中日では和製4番候補の1人に数えられたこともあるが、05年オフに自由契約となった。トライアウトを経てソフトバンクに入団。昨年まで左足首負傷などけがもあった男がプロ8年目の今季、正捕手の座を手にした。オフに約8キロの減量に成功。古傷の両ひざの負担を減らし、スイングもシャープになった。秋山監督は「田上は振りが大きくなったね。今年いい成績を残した人が出るんだから刺激になるし、自信をつけてくればいい」と初の球宴へエールをおくった。

 リーグ戦では敵将となるパの渡辺監督(西武)から推薦を受けたのは、松中と並びチームトップ12発を数える長打力があったから。田上が球宴で狙うのはただ一つだ。「3球フルスイングする気持ちでやる。1発狙い?

 一流投手ばかりで打てる確率は低いでしょうがマン振りです(思い切り振る)」。テスト入団でプロとして首の皮をつなげたのはこのパンチ力があったから。自分の道を開いた豪快なスイングを晴れ舞台で思う存分に披露する。

 戦力外通告を味わいながら球宴で本塁打を放ったのは96年近鉄の山本和範(ダイエー戦力外)や07年楽天の山崎武司(オリックス戦力外)らが有名だ。田上も「リストラの星」としてファンに勇気と希望を与えたいと願っている。さらにはマスクをかぶる楽しみもある。「いろんな投手の球を受けてこれからの自分にプラスにできたらいいですね」。1度はどん底を経験し、自暴自棄になりかけた男。その目は押し寄せる喜びと期待でキラキラと輝いていた。

 [2009年7月7日10時55分

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