中田良弘監督(50)が電撃解任され、女性初のプロ野球選手、吉田えり投手(17)が離脱した関西独立リーグの神戸9クルーズが大混乱に陥った。

 7月31日、兵庫・尼崎記念公園球場で行われた紀州戦で、登録メンバー20人のうち吉田を含めた5人が欠場。メンバーが足りない非常事態となり、前日30日に就任した元オリックスの村上真一監督代行(45)が、一塁コーチを兼任しながら9番DHでスタメンに名を連ねた。結果は三振、三振、死球。第4打席は、代打に衣川コーチを送った。

 欠場した中には、球場に姿を見せなかった選手もいた。理由は体調不良とされたが、中田前監督を解任した球団側への不満によるボイコットとみられる。右中間の外野フェンスには「中田監督俺達は待っている」とのプラカードが掲げられた。ベンチには吉田えりの背番号28のユニホームが飾られた。いずれも選手による抗議行動だった。

 動揺を抱えたチームは5-9で紀州に逆転負けした。異なるポジションで出場した選手もいた。守護神の小園司投手(26)がプロテクターをつけてブルペン捕手を務め、終盤の攻撃では一塁ベースコーチが空くなど、悲壮感すら漂った。

 試合後は自然発生的に選手がベンチ前に整列。1人ずつマイクを握り、ファンに中田前監督の復帰に向け協力を呼びかけた。涙を流す選手もいた。初采配の村上監督代行も「中田監督が戻るまで精いっぱい頑張っていきます」と訴え、「監督の力は大きい。選手もコーチも気持ちは同じです」と神妙な表情だった。

 [2009年8月1日8時38分

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