<横浜3-10中日>◇7日◇横浜

 耐えしのいでの勝利だった。中日吉見一起投手(24)が横浜打線を7回3失点(自責2)に抑え、自己最多となる今季11勝目。昨年から続く横浜戦の連勝記録を7に伸ばした。

 「立ち上がりどうこうではなく、完投しないと。点を取ってもらったのに、バタバタしすぎた。今日はもう終わったことなので、切り替えます」

 まるで負け投手のような悔しい表情。横浜戦はここまで3試合連続完封と、相性は抜群だったが、この日は決して納得できる内容ではなかった。初回、先頭の森笠に四球を与え、内野ゴロの間に失点。横浜戦連続無失点記録は28イニングで途絶えた。それでも、ズルズルと失点を重ねることはなく、4回には下位打線を3者連続三振。徐々に本来の姿を取り戻し、チームに白星をもたらした。

 前回登板した7月31日のヤクルト戦。吉見は館山との投げ合いを制すことはできず、50日ぶりに黒星を喫した。その2日後。自ら休日を返上し、小雨の降る中、神宮の外野を何度もダッシュした。「何か納得いかなくて…」。名古屋に戻った後も、2日続けて、普段よりも約1時間早くドーム入り。まだ照明のついていない昼すぎの暗いドーム内を、1人黙々と走った。できる限りのことを尽くしたからこそ、勝利の女神もほほ笑んでくれた。

 それでも、まだ理想の形には届いていない。次回はヤクルト戦の登板が濃厚。「次が本当の勝負だと思うので、しっかり調整していきたい。また館山さんと当たると思いますから」。求めているのは内容をともなっての勝利。吉見が追い求める理想像はどこまでも高い。【福岡吉央】

 [2009年8月8日12時6分

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