<中日3-4横浜>◇22日◇ナゴヤドーム

 まさかの光景だった。中日守護神の岩瀬仁紀投手(34)が延長11回、横浜に勝ち越し点を与え、今季3敗目を喫した。岩瀬はここまで連続試合セーブ記録を20まで伸ばし、日本記録にあと2つと迫っていたが、これで記録もストップ。落合監督はセーブのつかない同点の場面で岩瀬を投入し、勝負に出たが、結果的に裏目となった。痛い敗戦で、首位巨人とのゲーム差は2・5に開いた。

 信じられない結末だった。守護神岩瀬が、今季わずか2敗しかしていない横浜から、延長11回表に決勝点を奪われた。終盤に打線がみせた執念の反撃をフイにしてしまった。

 「こんな結果になってしまって申し訳ないです…」。

 延長11回。同点でマウンドに立った瞬間、セーブの可能性は消え、連続試合セーブ記録は途切れた。だが、個人の記録などどうでもよかった。日ごろから「どんなに調子が悪くても、悪いなりにゼロに抑えるのが仕事。記録のことはいい」と話している。優勝をつかみ取るために、目の前の試合に全力を注げればそれでよかった。

 だが、この日は違った。先頭の代打桑原義を四球で歩かせたことが痛手になった。吉村の犠打は防いだが、続く石川に犠打を許し、2死二塁。ここでベンチは代打内川敬遠を選んだ。次打者は藤田。カウント2-2から5球目、藤田に高めに入ったスライダーをはじき返され、打球は一、二塁間を破る右前打。本塁はクロスプレーになったが、藤井の送球が三塁側にそれたことでタッチは間に合わず、判定はセーフ。横浜に勝ち越しとなる4点目を献上した。

 これで、6月26日の広島戦から続いていた、岩瀬の連続セーブ記録も20でストップ。佐々木主浩が持つ日本記録の22試合まであと2つと迫っていたが、記録は歴代2位どまりとなった。

 9回裏に同点に追いつき、横浜の打順が1番から始まる10回のマウンドに上がったのは高橋だった。これまでなら、同点で迎えた10回は岩瀬が定石。だが、この日任せられたのは11回だった。だが、結果的にこれが裏目に出た。

 落合監督も「きょうこそ何もないわ」と、言葉少なだった。だが、頼れる岩瀬でも時にはこんな時もある。この日の借りは、また次のチャンスでかえせばいい。【福岡吉央】

 [2009年8月23日11時33分

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