<オリックス1-0西武>◇28日◇スカイマーク

 西武打線が、出口の見えないトンネルに迷い込んだ。9回2死から原拓也内野手(25)が左前打で出塁し、打者27人で試合が終わるのを阻止するのがやっとだった。3試合連続の完封負けは、70年の西鉄時代以来39年ぶり。渡辺久信監督(44)は「そうだろうね、聞いたことがない。重症っちゃ重症だね。この状況が続いて1カ月半になるかな」。厳しい現実を受け止めた言葉に、ため息がでた。

 ホームベースが遠い。ここ2試合は三塁を踏めず、この日はオリックス岸田からわずか3安打。二塁にすら到達できなかった。直球、スライダー、チェンジアップの球種を絞れず11三振。対策を立てても空回りし、なんとしても攻略するという工夫や姿勢が見えない。渡辺監督は「普通のボールという感じがした。明日対戦する金子くんの方がすべてにおいて上」と、さらに不安をかき立てられた。

 楽天に2試合連続完封を喫した前日27日の試合後、ベンチに選手を集めた。「野球は本来楽しいもの。調子がいい楽天に1勝2敗だったけど、3連敗しなかったんだから暗くなる必要はない。楽しんでいこう」。閉塞(へいそく)感を打ち破るため、プラス思考のきっかけを与えようとしたが、反応しない打線の深刻さは増すばかり。8回の円陣でもゲキを飛ばしたが、昨年は魔法のように効いた指揮官の声すら届かない。

 初回の1失点に抑えた先発帆足の踏ん張りも見殺しにした。故障の中村離脱で4番に座る中島は3打数無安打に終わり「今日は今日で終わったこと。明日からみんなでなんとかするしかない」と声を絞り出した。CS争いで後退する痛恨の3連敗。打つ手は打っても、結果が出ない昨季王者の悩みは深い。【柴田猛夫】

 [2009年8月29日8時53分

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