<ソフトバンク5-6楽天>◇12日◇福岡ヤフードーム
最後までハラハラさせながら、野村楽天が待ちに待った球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出マジック19を点灯させた。12日のソフトバンク戦で辛勝し、今季最多タイの6連勝。主砲山崎武司内野手(40)が先制&ダメ押しの34、35号の2ラン2発で4打点。6点リードの8回はリリーフ陣が打ち込まれたが、最後は小山が踏ん張り逃げ切った。13日に楽天が勝ち、日本ハムが敗れれば自力優勝も復活する。CS進出どころか、大逆転優勝まで見えてきた。
ヒヤヒヤ、ハラハラ、ドキドキの逃げ切り勝ちは、楽天らしかった。6点リードの8回、打者11人の猛攻を受け1点差まで詰め寄られた。楽勝が一転、辛勝に野村克也監督(74)は「連日、脚本家ばかり育つよ。テレビ局で使ったら?
いい本、書くかもよ」と救援陣に苦言を呈した。8回2死満塁から4人をピシャリと抑えた6番手小山がゲームを締めくくると、やれやれという表情で指揮官は重い腰を上げた。
薄氷を踏む逃げ切りは、山崎武の2発が結果的に大きかった。8回1死三塁から、山崎武は、佐藤の外角高めのスライダーをバットの先でつかまえた。「当てただけ。感触はあったから、フェンス直撃か入るかとは思ったけどね」。体勢を崩されながらの打球だったが、失速せずに左中間最深部のフェンスを越えた。
1回の先制34号2ランに続く、ダメ押しの35号2ラン。89年に元オリックスの門田が作った41歳シーズンでの本塁打記録更新を、自らの2発で祝った。「やっと抜けたね、偉大な先輩の記録を!
やっと出た。手の届かない存在でピンとこないけど、やっぱりどこかで意識していたし、個人記録の歴史を塗り替えることになって、やっぱりうれしいよ」と素直に喜んだ。
6度も足踏みしたが、球団創設5年目にして、初のCSマジック点灯。創設年から在籍するベテランは「よくここまで成長したね。1年目は2軍のオールスターにも負けるようだったからね。まだまだ油断はできないけど」と感慨深そうだ。チームは未知のプレッシャーに苦しめられ、自らも9月に入り調子を落とし「バッティング教えてくれ~。もう1本も(本塁打を)打てないかも」と打ち明けたほどだった。不振でも、ここぞという場面で打つのが4番だ。今季14イニング無得点だったホールトンから、先制2ラン。チームの苦手意識を克服する効果は十分だった。
衰えを知らないパワーがあるからこそ、ナインからの信頼は厚い。打撃練習中、守備についていた渡辺直には「痛い、痛い。武司さんの打球捕っちゃいましたよ。速さが半端ない」と左手をさすりながら、驚かれたこともあった。チーム1、2を争うヘッドスピードから、打球は一直線にスタンドへ向かう。球界屈指のアーチストの存在は、経験の浅い選手に安心感を与えている。
CSが手に届くところまできたと同時に、2位ソフトバンクと3ゲーム差、首位日本ハムにも5・5ゲーム差。13日の結果次第では自力Vが復活する。それでも野村監督は気を引き締めた。「マジックだから消えるだろ。あんまりプレッシャーかけないでよ。まじめな選手ばっかりだから。これから1試合1試合が大事やな。だから開幕から同じ気持ちで大事に戦わないといけない。あの試合で勝っておけばってな。長いこと監督やってるけど、その繰り返しだよ」。頼れるベテランの力で、大きな壁を1つ乗り越えた。残り24試合。悲願達成に向け、ただ上を目指して突き進む。【小松正明】
[2009年9月13日8時17分
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