<広島3-5中日>◇15日◇マツダスタジアム

 中日和田一浩外野手(37)が起死回生の27号2ランで、チームを今季3度目の5連勝に導いた。7回に3点リードを追いつかれ、3-3で延長戦に突入。10回2死一塁で、広島の守護神永川のストレートを右翼スタンドギリギリにたたき込んだ。8月中旬から1カ月近く本塁打が出ずに苦しんだが、これで3戦連発。首位巨人が敗れてゲーム差が6に縮まり、貯金も今季最多の24になる中、ポイントゲッター和田も乗ってきた。

 捕られたと思った。スピードを緩めた和田は、一、二塁間で天を仰いで立ち止まった。同点の延長10回2死一塁。永川から放ったライナー性の大飛球は、右翼手広瀬が差し出したグラブに吸い込まれたように見えた。「捕られたと思いましたよ。視界から消えましたから。捕られた感が漂ってたじゃないですか」。だが、嶋田一塁塁審はゆっくりと右手を回した。スタンドインを確認した和田は、二塁ベースに向けもう1度走りだした。

 起死回生の27号2ランだ。回が進むにつれ、中日の歯車はかみ合わなくなっていた。快調に飛ばしていたチェンが7回、天谷に同点3ランを浴びKO降板。8回には先頭ブランコが二塁打で出塁したが、5番和田以下の後続が倒れ無得点に終わった。同点で迎えた延長10回にも先頭荒木が四球で出塁したが、痛恨の盗塁死。簡単に2死を取られ、守護神永川が出てきた。

 それでも和田は超前向きだった。「永川が出てきたのもぜんぜん嫌な感じはなかった。それよりもう1回チャンスをもらえると思った。前の打席で三振してましたし、得点圏で2度打ててなかったんで」。ブランコが右前打で出塁し、気分はますます盛り上がる。カウント1-2からの147キロの高めの直球を豪快にたたきつぶした。

 ポイントゲッターが乗ってきた。実は人知れず悩んでいた。8月14日ヤクルト戦で24号を放ってから、打撃がしっくりこなくなった。安打は出ても、打球がきれいにライナーにならない。1カ月近くも本塁打から遠ざかり、思うように打点も挙げられなくなった。タイミングをとる右手の動き、左足の上げ方を微調整。できることは何でも試した。そんな試行錯誤が実り、9月12日ヤクルト戦からこれで3戦連発。少しずつ笑顔も戻ってきた。

 若手時代のようにバットをブンブン振り回すスタイルはやめたが、誰より激しくスイングするのは変わらない。37歳の肉体に疲労がたまっていないはずはない。それでも、和田の闘争本能はミラクル逆転Vに向け鋭さを増していく。「1日1日、勝っていって、なんとかジャイアンツの背中をとらえられる位置までいきたい。疲労なんてまひしちゃいましたね」。巨人と6差。残り17戦。先を見ずに一つ一つ縮めていく。【村野

 森】

 [2009年9月16日11時4分

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