<西武8-1ソフトバンク>◇20日◇西武ドーム

 ソフトバンク杉内俊哉投手(28)がまさかのKO負けだ。9安打6失点はともに今季自己ワーストタイの内容で6回2/3で降板。野茂英雄以来史上2人目、左腕では初となる5試合連続2ケタ奪三振をマークしたが、自身の連勝は6でストップした。エースの敗戦でチームは4カード連続の負け越し。敗れた首位日本ハムとの差は4・5ゲームのままだが、勝った3位楽天には2差に詰め寄られた。

 グラブをたたきつけ、右足でベンチを蹴りつけた。まるで鬼の形相だ。マウンドを降りた杉内が、自分への怒りを爆発させた。9安打6失点はともに今季自己ワーストタイで、7回途中に降板。エースの責任を果たせなかった悔しさは、どうしても抑えることができなかった。

 「史上初左腕」の称号も喜べるはずがない。1-3の7回1死三塁で栗山から10個目の三振を奪い、5試合連続の2ケタ奪三振をマーク。93年野茂以来となる史上2人目、左腕では史上初の快挙を成し遂げた。今季185奪三振で涌井を抜いてリーグトップにも立った。だが、続く中島に左前適時打を許し、中村に四球を与えたところで降板を告げられた。

 得意なはずの西武戦だっただけに、ショックは大きい。今季の対戦成績はここまで4戦4勝。昨年4月11日に敗れて以来6連勝中だった。序盤は2回に失策絡みで1点を失った以外はスキを見せなかったが、1-1の6回1死から中村に浮いたチェンジアップを右翼席へ運ばれて勝ち越しを許した。さらに2死一、三塁から銀仁朗の内野安打で1点を追加された。100球を超えて制球が乱れ始め、7回に力尽きた。

 試合後は両耳をイヤホンでふさぎ、西武ドーム出口への長い階段を無言で上がった。敗戦の弁を述べることなく福岡への帰路に就いた。試合前には涌井や中島らと談笑する姿もあったが、表情は一変していた。秋山監督は「調子自体は悪くなかったけどね」と悔やんだ。

 6連勝中だったエースが沈み、チームは今季初となる4カード連続負け越しを喫した。首位日本ハムとの差は4・5ゲームのままだが、振り向けば3位楽天が2差に迫ってきた。危機的な状況だ。杉内は次週、日本ハムとの直接対決に登板する予定。悔しさはマウンドで発散するしかない。

 [2009年9月21日10時51分

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