楽天は25日、仙台市内のホテルで橋上秀樹ヘッドコーチ(43)池山隆寛打撃コーチ(43)ら1軍コーチ陣6人に来季の契約を結ばないことを通告した。残留要請したのは佐藤義則投手コーチ(55)山田勝彦(40)野村克則(36)の両バッテリーコーチの3人。2軍の松井優典監督(59)芹沢裕二バッテリーコーチ(41)の退団も決定した。今季は球団初のAクラスとなる2位、クライマックスシリーズ第1ステージ突破と躍進したが、野村監督の退任に伴い首脳陣を一新。快進撃を支えた1軍首脳陣が、大量解雇という異例の人事となった。

 厳しい現実だった。レギュラーシーズンで球団初の2位に押し上げ、CS第1ステージ突破に貢献した首脳陣に、次々と粛清ともいえる解雇が告げられた。橋上ヘッド、池山打撃コーチとヤクルト時代から野村監督の指導を受けたコーチ以外にも、西俊児内野守備・走塁、佐竹学外野守備・走塁、杉山賢人投手、関川浩一打撃補佐のコーチ陣も退団が決定した。

 米田球団代表と会談を終えると、球団を去るコーチ陣は険しい表情で姿を見せた。橋上ヘッドは「ここまできたら、ほかの球団はほとんど(人事が)決まってしまっている。CSに出たコーチがどれだけ不利になるか、まだ分からないのかもしれない」と不信感をあらわにした。残留する佐藤投手コーチも「できればCS前ぐらいには言ってほしい。コーチはみんな1年契約だしね。言いづらいだろうけど、違う気遣いをしてほしい」と、退団するコーチ陣の気持ちを代弁した。

 刷新を決めた米田球団代表は「申し訳なかった。こちらとしても、どのタイミングがいいか考え抜いた末の今日の面談。そこを理解してほしい」と弁明した。野村監督の退任に伴い想像された事態だが、悲願のAクラス入りを果たしただけに、各コーチには無念さがにじんだ。来季は広島監督を4年務めたマーティー・ブラウン氏(46)の新監督就任が決定的。新監督となれば首脳陣も一新されるのが通例だが、2位躍進を支えたコーチがほとんど残らないのは異例のことだ。米田球団代表は「監督が代わること自体、次のステージという意味が強いし、それを人事に関してもしようという意思がある」と説明した。

 残留の要請を受けた山田コーチは「野村野球継承?

 監督も代われば野球も変わるので…」と、複雑な表情で話した。4年間で浸透した「ノムラ野球」から離れ、来季から新たな楽天野球を一から築き上げることになった。【小松正明】

 [2009年10月26日8時49分

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