岩田も能見もフォッサムも、虎の左腕はダイジョ~ブ!

 甲子園球場が、総工費約3000万円をかけて「西日対策工事」に着手したことが25日、分かった。今季新装された甲子園は内野席中段に風を通す空間が設けられた。しかしナイター開始直後には一塁側から西日が差し込み、マウンド上の左投手を苦しめる危険性があった。今季は暫定ネットで目隠ししたが、来季へはスプリンクラーも併設した本格工事で西日を封じ込める。左腕王国完成のため、球場も力強く後押しする。

 左腕を守るために、ポ~ンと3000万円!

 大規模リニューアル工事の集大成となる3年目の甲子園改修で「西日対策」が完成する。球場関係者は「左投手がマウンド上でプレーしやすい環境を整えるためにやっています」と胸を張った。

 甲子園は現在、芝の全面張り替えや銀傘の上に太陽光発電パネルを設置するなど、改修工事を重ねている。その中に、左投手の活躍を後押しする西日対策工事が含まれていた。

 甲子園の一塁側から注がれる西日は、左の先発投手を苦しめてきた。ナイター開始直後は厳しい日差しがマウンドを直撃して、リズムを狂わせる場合があった。ベテラン下柳は、08年7月26日中日戦で岡田監督(当時)のすすめに従い、サングラスを着用したこともある。

 今季の甲子園は、内野スタンド中段に外部からの風を通す横長のスペースを作った。だが一塁側の空間から西日が差し込んで、左投手の視界を乱す可能性が生じた。球場側は暫定的な措置として、一塁側アイビーシート上に「目隠しネット」を張り巡らせ、太陽光を拡散させていた。

 しかし、来季以降もネットを完全定着させるためには、消防法上の問題があった。約50メートルにわたる「目隠しネット」の前方にある座席上に、スプリンクラーを設置することが義務付けられた。それがなければネットを外さなければならず、左投手のプレーに支障が出る。そのためネットを含めた本格工事に着手した。

 スプリンクラーは計80台で、ネット工事を加えた総工費は約3000万円。費用も時間もかかる大工事になったが、左投手が西日を気にしないで、ピッチングに集中できる環境を整えることを最優先した。

 来季の阪神は、左腕王国の完成を目指している。岩田、能見、下柳に加えて、新外国人フォッサムも先発起用される可能性がある。本拠地で先発左腕が西日にさらされてパフォーマンスを発揮できなければ、リーグV奪回はおぼつかない。左腕が活躍してくれるなら、3000万円は安いもの-。太っ腹な球場側の心意気で、左腕に優し~いホームスタジアムが完成する。

 [2009年12月26日11時22分

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