西武ドラフト1位の菊池雄星投手(18=花巻東)の「養成プラン」が、大きく前倒しされることになった。菊池は9日、西武第2球場での新人合同自主トレ初日に参加。苦手とされた長距離走でトップになるなど、予想を超えた仕上がりぶりに、視察した渡辺監督ら首脳陣が急きょ計画変更を決めた。キャンプから予定していたブルペン入りの時期を、早ければ1月19日に繰り上げ、2月1日のキャンプ初日には捕手を座らせ、本格的な投球練習を開始する見込みだ。

 怪物左腕が1月の所沢で早くもベールを脱ぐ。合同自主トレ初日となったこの日、菊池の口からブルペン入りする時期の前倒しが明かされた。「3クール目くらいブルペンに入れればと思います。2月には(捕手を)座らせて投げます」。これまでは渡辺監督らからスローペース調整を命じられ、それに従ってきた。自主トレのキャッチボールは20メートルほどの距離で、山なりのボールだけを投げてフォーム確認程度にとどめてきた。

 しかしこの日、大迫トレーニングコーチ、潮崎、橋本両投手コーチらと相談して合同自主トレでのブルペン入りが決定した。早ければ第3クール初日の19日にもブルペンに入る。そして来月のキャンプでは、いきなり捕手を座らせて投げ込むつもりだ。予定より早くブルペンに入らせるのには、投手コーチがたっぷりプロの技術をたたき込むため、という意味合いもある。しかし何よりも大きいのは、菊池本人が調整がうまくいっていると感じていること。この日は、午前8時開始のアーリーワークからみっちり体を動かし、2キロ走を2本、1・2キロ走を3本、合計で7・6キロ走った。苦手とされた長距離を、身につけたスカイブルーのトレーニングウエアのようにさわやかに、難なく完走した。

 2本目の2キロ走では新人6人全体でトップとなる8分台前半のタイムをたたき出した。同走のドラフト4位石川に100メートル以上の差をつけ、大迫コーチを「大したもんだ。体もごつごつしてなくてピッチャーらしい」とうならせた。菊池も「体が動く。思ったより速いペースでいける」と手応え十分。今年の目標は「1軍で1試合でも投げること」と謙虚に設定してきたが、この日のテレビインタビューで「今年のマニフェストは『開幕1軍』です」と掲げた。調整ペース同様、目標も上方修正。黄金ルーキーのエンジンがかかってきた。【亀山泰宏】

 [2010年1月10日8時16分

 紙面から]ソーシャルブックマーク