コイのプリンスは内川になる!

 昨秋ドラフト2位で広島に入団した堂林翔太内野手(18=中京大中京)が16日、広島・廿日市市内の大野屋内総合練習場で今年初めてフリー打撃を行った。38スイングの試運転でパワフルな振りを披露。苑田スカウト部長も「ちょっとスイングが違う」と評価した。本人は横浜内川を理想に挙げる。将来の4番候補は究極の安打製造機を目指す。

 端正なルックスからはギャップを感じさせる力強いスイングだった。合同自主トレでのフリー打撃。シュッ、シュッ…。バットで風を切らせていたのは、超高校級の打撃センスを買われた堂林だ。振り始めこそ、打ち損じたり、空振りするシーンも見られたが、熱を帯びると、強烈な打球が何度も防球ネットに突き刺さった。パワフルな弾道が能力の高さの証明だ。

 視察した苑田スカウト部長も言う。「ちょっとスイングが違う。パワーヒッターという感じで。懐が柔らかくて前(球をとらえた後)で打撃ができる。前を大きくしないと飛ばないものだから」。

 これまでマシン打撃には取り組んでいたが、フリー打撃は今年初めて。屋内だったが実力の片りんを見せつけた。堂林は「最初、タイミングが合わなくててこずる場面もあったけど、後半は合い始めて、自分のポイントで打てるときもありました」と振り返った。

 昨年夏の甲子園ではエースとして全国制覇を果たしたが、プロでは野手一筋で勝負する。昨年12月16日の新入団発表で目標の選手を問われた時は「特にいないです。人よりも自分だと思っている」と話したが、実際にプロのレベルを肌で触れ、理想像も浮上した。

 「内川さんとか、ヒットを残せる打者になりたい。ベースと違う、自分のストライクゾーンを持っていると聞いたこともあります」

 横浜内川は、08年に右打者史上最高打率の3割7分8厘で首位打者に輝いた。状況に応じて臨機応変に自らのストライクゾーンを作る打撃理論など、参考になる点は多い。堂林は「右打者で200安打を何年も続けられる打者になりたい」と話しており、まさに内川はルーキーの夢を実現させる教科書そのものなのだ。

 プロ入りを控え、最善の準備も行った。金属から木製バットに移行し、メーカー側に要望したのはタイカッブ型のグリップエンドだ。ミート力に優れる“相棒”を生かし、プレースタイルを確立する。「自分のこだわりは低い打球を打つこと。(プロの)レベルが高いのは分かっている。自分は自分。パワーではまだまだだけど、自分の持ち味を出せればいい」。おごらず突き進む。堂林が一流ヒットマンへの第1歩を踏み出した。【酒井俊作】

 [2010年1月17日10時49分

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