27年目の大ベテランが超異例のハイペース宣言だ!

 中日山本昌投手(44)が19日、2・1キャンプ初日からのフリー打撃登板を“志願”した。8年ぶりに春季キャンプを1軍(沖縄・北谷)でスタートすることが決定済み。森ヘッドコーチが2年目の伊藤準規投手(19)と1軍で競わせる意図を明言しており、それに応えた形だ。ここ数年、2軍・読谷でのスロー調整が許されていたが、今キャンプでは2月中旬の実戦登板も視野に、3・26開幕に向け仕上げていく。

 19歳伊藤との25歳差バトルをあおられた44歳の大ベテランが敏感に呼応した。山本昌はこの日、鳥取・ワールドウィングでの自主トレを終え、今年初めてナゴヤ球場での合同自主トレに参加。02年以来、8年ぶりとなる1軍でのキャンプスタートで若手並みの超早仕上げを誓った。

 まず2・1だ。キャンプ初日のメニューにフリー打撃登板が課される可能性がある。冷静な口調で、自らも例外ではないと明言した。「それは考えています。そういうこともあるんじゃないですか。それに近い状態にしていきたい」。

 通常ブルペンで何回かの試運転をこなしてから打者と対峙するもの。初日から打者に投げるというのは、よほどアピールが必要な立場と言える。山本昌ほどの実績をもつ投手となれば、まさに異例中の異例だが、自ら背水イヤーと言う今季。初日から全開の覚悟を決めていた。

 実戦登板も同様だ。開幕は3月26日。例年より1週間近く早い。2月中旬からは随時、対外試合、20日からはヤクルトとのオープン戦も始まる。早い段階での実戦でのアピールについても「そうなると思います。仕上がり具合を見て、投げられれば投げますと言います」と、こちらもきっぱりと自ら「特権返上」だ。

 山本昌は02年以降、毎年2軍の読谷でキャンプイン。2月下旬ごろからフリー打撃に登板し、名古屋に戻った後、3月のオープン戦で数試合に登板し、開幕に合わせていくパターンが多かった。初ブルペンですら、第1クール終盤が多かった。

 だが今年は状況が違う。16日、森ヘッドコーチが同じ1軍北谷で、成長株の2年目右腕伊藤と山本昌を「ガチンコ対決」させることを明言。ハッパをかけられた大ベテランも意向をくみ取った。第1クールから若手に交じり、ブルペンでの投げ込みを重ねていく。上がる土俵は同じ。25歳年下との先発ローテ争いも、しっかりと受けて立つつもりだ。

 この日の合同自主トレでは、若手選手に交じり、内野で約30分間ノックを受けるなど、仕上がりは順調そう。昨年はファームでチームトップの102イニングを投げながら、1軍ではわずか1勝に終わった。もう同じ失敗は繰り返せない。復活への強い思いを胸に、キャンプ初日からチーム内の戦いに挑む。【福岡吉央】

 [2010年1月20日10時25分

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