野党転落後、初めて開かれた自民党大会で野村克也前楽天監督(74)が講演し、自民党を常勝時代の巨人と並べ「おごりがあった」と、“敗因”を指摘した。その上で、巨人はV9の後、最下位となったがそこから復活したとして「巻き返しに向けて頑張れ」と激励した。さて、ノムラの教えは自民再生のきっかけになるか。また“美しすぎる市議”藤川優里八戸市議(29)もミニスカートで登壇するなど、盛り上げに必死の党大会だった。

 自民党再生の極意を聞こうと、ゲストスピーカーに招かれたノムさん。「場違いな所に来た」とトボケつつ「昨年(衆院選)は皆さん、負けたんですよね。フフフ」。場内に笑いが起きたところで切り込んだ。「監督として24年、選手として27年経験がありますが、負ける時は負けるべくして負ける。私は常に勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしと言っているが、負けて反省はするが、勝って反省はあまりしない。そこに皆さんの落とし穴があるのでは」。

 自民党の敗因をズバリ。勝負師の指摘に会場の笑いは消えた。

 ベテランの山崎武司内野手を再生させた例を出して「監督は気づかせ業だ」と、選手たちが迷っているときに気づかせる手助けをすることが指導者の役目と説いた。谷垣総裁の心には響いただろうか。

 ノムさんはさらに、自民党を「球界の盟主」巨人に例え「恐らく皆さんは巨人の心境でおられたと思うが、上に立てば足を引っ張る人がいる。みんなが結束して、足を引っ張りに来ることを忘れず、頑張ってください」と、エールを送った。

 帰り際も「巨人の黄金時代、全球団が打倒巨人で団結すると、天下を取っていた巨人もおかしくなった。また立ち直ってきましたけどね。まあそういうことだと思う」と、再生のヒントを披露した。「はたから見ると、巨人と自民党はつながるというか、自民党にはちょっとおごりがあったのでは。国民にいいおきゅうを据えられたと思い、もう1度立ち直ってもらえれば」。今や新しい黄金期に入った巨人を模範に出した。

 「弱いチームが強いチームを倒す時、まともに行っても勝てない。相手の弱点を具体的に見つけ、徹底的に攻めるのが弱者の戦術の基本」と持論を披露した。今や野党に転落した自民党だが、与党に登り詰めた民主党も早くも「政治とカネ」の問題で弱点をさらけ出している。つけいるすきはあるということか。

 辛口のノムさんだが、この日司会役の小泉進次郎氏の“才能”には目をつけていた。「プロ野球は親子2代で名選手はいないが、血統的には申し分ない。司会で壇上にいたが、さすがしっかりしているし、しゃべりもうまい。いいんじゃないですか」。

 ノムラの教えはポイントをついていたが、谷垣総裁より注目されるところに今の自民党の問題も浮き出ていた。【中山知子】

 [2010年1月25日9時46分

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