愛の熱血指導だ。宮崎キャンプ初日の1日、巨人原辰徳監督(51)が大田泰示内野手(19)に計1時間近いマンツーマン指導を行った。雨で室内練習となったが、守備に打撃に自ら手本を示した。キャンプ初日に異例の長時間指導は、2年目を迎えた大砲候補への期待の表れ。思いに応えようと、大田は今季のレギュラー奪取を誓った。

 雨が練習場の屋根を激しく打っていたが、原監督の明朗な声はよく響いた。「泰示!」。投内連係で三塁を守る大田を呼び止めた。直立する大田の前で、捕球から送球までの足の運びを披露。続く内野ノックでは、同じ三塁の古城のプレーを見させた。名手の技を目に焼き付けさせた。

 約30分の守備練習は、ほぼ付きっきり。だが、これで終わりではなかった。居残りのマシン打撃でも約30分、大田が打つケージの裏に立ち続けた。大田がセーフティーバント失敗を続けると、自ら打席に入った。セーフティーバントを決め「お前よりうまいだろう!」とニヤリ。大田は「うまかったです。さすが監督です」。東海大相模高の先輩と後輩。師弟のきずなが練習を盛り上げた。

 昨季は1打席に終わったドラフト1位ルーキーに、原監督は「守備は上手になっている。まだ四六時中、言わなければいけないレベルだけど、結果を恐れることはない。課題は多いけど1つ1つ階段を上っています」と期待した。かつて坂本がそうだったように、2年目で飛躍できるか。「8番三塁」の候補に挙げ、生きた手本があふれる主力組のA班でキャンプスタートさせたことに、指揮官の思いが詰まっている。

 この日は細かい技術指導はなかった。ただ「原点、基本に振り返って練習しなさい」。それが金言だった。大田は「僕がレギュラーで役割を果たせるように、キャンプを有意義に過ごしたい。A班はピリピリした雰囲気を感じるけど、シーズンはそれ以上。いい環境で練習ができています」と感謝した。居残り打撃後はウエートトレーニング、さらに宿舎に戻ってからもスイングルームに消えた。初日から、わずかな昼食時間を挟み9時間の猛練習。原監督の思いは、十分すぎるほど伝わっていた。【古川真弥】

 [2010年2月2日8時38分

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