ソフトバンク杉内俊哉投手(29)が開幕投手の大役に向けて自己最速の実戦登板で調整する。14日から始まるチーム初実戦の紅白戦(アイビースタジアム)でいきなりマウンドに上がることが3日、濃厚になった。すでにシーズン本番の開幕投手に内定済み。プロ入り後で最も早く実戦に突入して万全の態勢を整える。

 準備OKだ。ミットをたたく白球の音が仕上がりの良さを雄弁に物語っていた。「(ブルペン入りが)2回目であれぐらい投げられればいい」。2日ぶりのブルペンで83球の投げ込みを終えた杉内は満足げにぬれた髪をかき上げた。

 「3・20」へ向けたスケジュールもできてきた。今後について「打撃投手はやらないで、ぶっつけで紅白戦になる。2回ぐらい投げると思う」と明かした。まだ最終決定はしていないが、14日の紅白戦初戦に登板後、中5日で20日の同最終戦に登板すれば、以後は中6日の調整で3月20日の開幕日本ハム戦(札幌ドーム)を迎えられる。すでに相談を重ねている高山投手コーチも「彼の能力が一番出せる環境をつくりたい」と本人の意向を尊重する方針だ。

 2月14日に実戦初登板を迎えれば、プロ入り9年目で自己最速となる。3月のWBCに出場した昨年でも2月26日で、2週間近く早い。例年は打撃投手登板などを経て実戦を迎えていたが「(今年は)投げる必要もないかな。(実戦での)打者の反応も見たいし」と、より本番に近い形で場数を踏むことを重視した。

 主力投手が紅白戦初戦に登板するのは異例だが、4年前に最高の成功例がある。06年の斉藤は最初の紅白戦で登板すると、シーズン開幕戦でも白星を挙げ、沢村賞にまで輝いた。2年ぶりの大役で自身初の開幕白星を目指して、杉内が早くも臨戦態勢に入る。【太田尚樹】

 [2010年2月4日11時38分

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