ソフトバンク小椋真介投手(29)が先発ローテーションの「第5の男」に浮上した。4日は宮崎キャンプ3度目のブルペンで約120球の熱投を見せた。14日から始まる紅白戦4試合について、高山郁夫投手コーチ(47)は「(小椋を)先発として投げさせる」と明言。12年目を迎えた左腕が、先発ローテ入りへ大きなチャンスを与えられた。

 プロ12年目の小椋が汗にまみれ、黙々と白球を投げ込んだ。第1クール4日間で3度目のブルペン入り。大場や岩崎、巽ら若手に負けじと、一心に左腕を振り続けた。約120球の投げ込みを終えても満足はない。口をとがらせ「スタミナもフォームもまだまだ。最後の30球も良くなかった」と頭をかいた。

 ひたむきな取り組みがチャンスを引き寄せた。高山投手コーチは、14日から始まる紅白戦4試合のいずれかで「先発として投げさせる」と明言。「真介はいい。気持ちが伝わってくる」と高く評価した。チームの先発枠には杉内、和田、ホールトンの3人が確定しており、昨季8勝の大隣も決定的。残る2枠をめぐって若手のほか、藤岡や高橋秀らが壮絶な争いを繰り広げる中で、小椋が「第5の男」に名乗りを上げた。

 意気込みが違う。プロ生活11年間で挙げた白星は08年に中継ぎで挙げた3勝だけ。1軍での先発は02年8月4日西武戦までさかのぼる。同級生の和田、杉内、新垣が脚光を浴びる陰に隠れてきた。昨季は7月末に左足首を手術するなど、わずか1試合の登板にとどまった。だが、昨秋のキャンプで高山コーチから「先発の準備もしておくように」と言われ、目の色が変わった。キャンプ初日からチーム最多の101球を投げ、今季にかける気迫と仕上がりの良さをアピールした。

 実戦登板へ向け、6日からの第2クール以降も手を抜くつもりはない。当面の課題は先発に耐えられるスタミナ強化。「次のクールも投げ込みたい。200球投げる日もつくりたい」と若手顔負けの貪欲(どんよく)さだ。目指すは8年ぶりの1軍先発と自身初の先発勝利。今年8月に30歳を迎える左腕が、12年目の大ブレークを狙う。

 [2010年2月5日11時20分

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