阪神城島健司捕手(33)が宜野座キャンプ第2クール最終日の9日、フリー打撃でタテジマ1号をかっ飛ばした。その瞬間、スタンドのファンも「オオッ!」と声を上げた。15振目。左翼ポール際に大きな120メートルの弧を描いた。

 「ごっつい詰まってました。まだバットが体から離れて巻き付いて来ない。センターに返そうとしたけどバットが返ってしまった」

 照れ笑いで“打ち損じ”と明かした。フルスイングではない。この日も屋外では右方向へのミート打撃に徹していた。だが内寄り高めにきたその1球には、本能がウズいた。結局48振で1発だけだったが、詰まっても楽勝の柵越えは、やはり規格外。同時にそれは、得意の内角さばきを象徴する一撃でもあった。

 「イン(コース)に来ないとメシを食えない。外中心で来られても、僕がライトに大きいのを打つのは難しいんでね。投手も厳しくなるけどインの投げ損ね、甘くなった球を打たないと」

 一番の得意は引っ張り打法。練習はもちろん、試合でも極端にベース寄りに立つのが城島スタイルだ。おかげでダイエー時代の04年には、捕手では異例のリーグ最多の22死球。だが内寄りに立つ分、外角球も引っ張って本塁打することができる。

 「エッ、恐怖感?

 仕事だもん。そりゃ痛いけどね。それに捕手は一番バチバチ当てられるポジションだし、そんなことは言ってられんでしょ。衣笠(祥雄)さんにも毎年当てられないコツも聞いてますけど」

 内角攻め上等。むしろメシの種になる。走塁練習でも猛烈スライディングを初披露。規格外な闘魂もチームに相乗効果をもたらしそうだ。

 [2010年2月10日11時47分

 紙面から]ソーシャルブックマーク