マー君は考えるアシである―。楽天の沖縄・久米島キャンプ第3クール初日の10日、田中将大投手(21)が84球のブルペン投球を行った。打者が左右打席に立った上で、自らコース、球種を指定。10球をひと区切りとし、8球以上狙った個所に投げ込むという高いノルマを課した。

 「課題を持たない100球以上の投げ込みは、意味がない」と、今季最多の投球練習を振り返った。投じた84球すべてに、根拠を求めたかった。左右交互に打者が立ち、コース、球種をあらかじめ口頭指定した。10球単位で、8割以上が狙い通りで合格。今季最多の84球は、この作業を繰り返した結果にすぎなかった。「ブルペンから試合をイメージして。直球と同じで、強く腕を振ることを意識して、バランス良く。感じることはありましたよ」と哲学的なコメントで結んだ。

 投球練習場に実戦同様の制球を。一昨年オフ、佐藤投手コーチが就任してから取り入れた練習だ。集中に加え技術が伴わなければ、やりたくてもできないA難度の作業。入団から68→54→43と減り続ける与四死球数が、その効果を雄弁に物語っている。田中は「四球にも(出していい四球など)意味があるが、制球が良くなっている実感はある。セットポジション、打撃投手。やるべき段階はまだまだある。それを着実にこなすことです」。チェックが完了するまで実戦投球を行う必要はないと、経験則から知っている。

 21歳は「開幕投手は誰が見ても岩隈さんです。そんな器じゃないのは分かってます」と、けれん味なく言った。地に足をつけ迎える4年目に合わせ、ファンにはうれしい話題もある。集英社「週刊ヤングジャンプ」が、田中を主人公とした実録漫画を開幕ごろに発表する予定だ。この日取材を受け、投手陣の最後に引き揚げたマー君。白紙の10年シーズンに進化した姿を書き加える。【宮下敬至】

 [2010年2月11日9時19分

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