<阪神11-1オリックス>◇27日◇安芸

 こりゃホンマもんの恐怖の1番や!

 阪神の新助っ人マット・マートン外野手(28=ロッキーズ)が27日、オープン戦開幕試合のオリックス戦(安芸)に「1番中堅」で先発し、いきなり来日1号を放った。初回の初球をヒットし、弾丸ライナーでバックスクリーンを直撃する推定飛距離130メートルの先頭打者弾。見た目以上にぶっとい二の腕でパワーを全開すれば、真弓、今岡に続く“恐怖の1番打者”の誕生や。

 見逃した観客は悔やむしかない。ガツン…ズドン!

 一瞬の出来事だった。弾丸ライナーがほんわかした安芸の空気を切り裂き、センターバックスクリーンの右中部を直撃した。城島の強肩“ズバッとスロー”に負けじと、マートンが米国製“ロケット弾”を発射。球場をナサ宇宙センターに変えた。

 マートン

 キャンプ、紅白戦とたくさん打席に立って慣れてきたから、初球に真っすぐが来たら思いきりたたこうと思ったんだ。

 「1番中堅」で先発したオープン戦初戦。初回。オリックス平野が投じた初球。真ん中に甘く入った直球を強振した。「前に突っ込まず(体を)残して打てた。非常に良いスイング、良い打球だったよ」。衝撃の速攻弾でパワーもある「恐怖の1番打者」を印象づけた。

 実は超マッチョだった。来日直後の1月下旬。病院でメディカルチェックを受けようとした際、ある難題にぶち当たった。血圧を測るため、上腕に成人男性用のバンドを巻こうとしたが、腕が太すぎて長さが足りない…。医師、看護師らを驚かせ、本人も苦笑い。最後は足に使うバンドを着用して測定を終えたという。太もも並み?

 の規格外の両腕が頑丈な下半身とタッグを組み、ロケット弾発射の土台は作られている。

 2打席目は内角直球にバットを折りながら、力で中前に打球を落とした。3打数2安打で実戦3試合連続のマルチ安打。ここまでは広角打法を心がけてた打撃が目立っていたが、隠れたパワーもにじみ出てきた。「アドレナリンが出て気持ち良かった。今まで取り組んでいたことが報われたよ」と満面の笑みだ。

 キャンプでは居残り特打、ビデオチェックにも真摯(しんし)に取り組んだ。変化球に対応するため、和田打撃コーチと体を開かないフォームを追求。昨季限りで現役引退したスピードスター赤星氏(野球評論家)の後釜という立場。プレッシャーを受けながらマジメに努力する姿勢が、好結果を呼び始めた。

 和田コーチも大きな期待を隠さない。「最初にガツンと行くとチームに勢いがつくし、突破口になる。03年の今岡(現ロッテ)みたいに最初からガツンと行って、勢いをつけてほしいね」。初回先頭打者本塁打のセ・リーグ記録(38本)を持つ真弓監督、そして今岡の次はやはりこの助っ人か。虎の“恐怖の1番”列伝、2010年に新章のページがめくられる。

 [2010年2月28日12時36分

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