<ソフトバンク3-2西武>◇3日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクの14年目のベテラン柴原洋外野手(35)が、チーム27イニングぶりとなる貴重な適時打を放った。西武とのオープン戦(福岡ヤフードーム)、1点を追う9回裏に代打で登場。1死二塁から右前へ同点タイムリーを放ち、サヨナラ勝ちにつなげた。プロ2年目からレギュラーを張ってきたが、昨季出場は自己ワーストの37試合。巻き返しに燃える男は、外野の定位置争いをあきらめない。

 今季にかける思いが、柴原にバットを短く持たせた。9回裏1死二塁。1点を追う場面で、村松が犠打でつないだチャンス。ひと握りバットを短く持ち、打席へ入った。カウント0-2から西武小野寺の3球目。内角の146キロ直球をシャープに振り抜いた。一、二塁間を破った打球は、貴重な同点タイムリー。「練習の球は遅いけど、試合の球は速いから」。言葉少なに振り返った。

 プロ2年目からレギュラーに定着し100試合以上出場は8度経験した。打率3割超えは4度。しかし不調だった昨季は自己ワーストの37試合出場にとどまった。「プラスにとらえないとね」とオフに8キロの減量。好きな揚げ物を控えて体を絞り込み、キレを取り戻してから春季キャンプに乗り込んだ。

 外野争いはオーティズ、多村、長谷川がリードしているが、定位置に挑戦する気持ちは衰えていない。「みんなで競い合って、結果的にチーム力がアップすればね。優勝したいし」。キャンプ中は同じ外野の守備位置を争う若手だけにとどまらず、巽、岩崎ら若手投手も積極的に食事へと誘い士気を高めた。7年目だった03年から遠ざかる優勝への思いも強い。キャンプでは「若手に負けないように競っていきますよ」と、第1クールから好調な打撃をアピールしてきた。

 ベテランの意地のひと振りは、湿りがちだった打線に喝を与えた。チームはこの日も8回まで、4度得点圏に走者を進めながら適時打なし。2月27日広島戦9回に李■浩のサヨナラ打が出て以来26イニング適時打が出ていなかっただけに、大きな一打となった。「準備だけはしっかりして、悔いを残さないようにね」と柴原。7年ぶりのVには、必ずベテランの力が必要となるはずだ。※■は木へんに凡

 [2010年3月4日14時13分

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