左肩甲骨付近の違和感で2軍調整中の中日山本昌投手(44)が、3月26日の開幕に間に合わないことが確実となった。8日、ナゴヤ球場で練習を行ったベテラン左腕に対し、稲葉光雄投手コーチ(61)は開幕を2週間後に控えた現在も実戦登板の予定が立たないことを明かし、開幕は難しいという見通しを示した。通算205勝を誇る名球会左腕が、進退をかけると決めた27年目のシーズンは、2軍スタートとなった。

 山本昌の言葉にはどこか元気がなかった。「まあ、ぼちぼちだね。もうすぐブルペンでも投げ始めようと思っている」。この日も2軍のナゴヤ球場でキャッチボールなどを行ったが、結局ブルペンには入らなかった。同じ故障組の朝倉、中田が捕手を座らせて投げたのとは対照的に、開幕まで2週間となってもなかなか前進しない。そんなベテラン左腕の状況を稲葉投手コーチはこう説明した。

 「マサはゲームのめどは立たない。まだブルペンにも入っていないんだから。まずはキャッチボールをしっかりやれるようになることだね」。3月26日の開幕ついては「難しいねえ」と見通しを示した。確かにこの日のキャッチボールも他選手より短い距離でしか投げられなかった。開幕に間に合わせるためには少なくともブルペン投球→フリー打撃登板→2軍戦登板というプロセスを踏まなければならず、投球練習も再開できていない現状では、開幕も絶望視される。

 昨季1勝に終わった山本昌は27年目の今季、進退をかけると宣言して臨んだ。意気込みを示すように昨年12月中に鳥取市内のスポーツジム「ワールドウイング」で自主トレを開始すると、年明けの1月中にはブルペン投球を開始した。ただ、この超ハイペース調整の影響か、沖縄キャンプ終盤に左肩甲骨付近に違和感を訴え、2月23日に予定していたブルペン投球を回避した。2月26日に名古屋市内の病院で検査を受けた結果、予想以上に回復に時間がかかることが判明し、2軍調整が決定。その後も投球練習を行っていない。

 ただ、関係者によれば故障は肩甲骨付近の筋膜はく離で関節ではないという。筋肉の故障は日ごとに回復するため、大きな出遅れにはならない。開幕を2軍で迎えることは確実となったが、経験豊富な通算205勝投手が黙っているはずはない。背水のシーズンは先発の座を奪うところから始まる。【鈴木忠平】

 [2010年3月9日10時28分

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